オオジシギはシギやチドリの仲間で、長い嘴と短いあし、地味な羽色が特徴です。同じ仲間のタシギに良く似ていますが、一回り大きく、長い翼を持っています。世界的な分布はタシギよりずっと狭く、日本とロシアの一部だけで繁殖しています。繁殖地では、「ズビーヤク、ズビーヤク」と鳴きながら急降下する際に尾羽を使い「ゴゴゴゴ…」と音を立てるディスプレイが見られます。

null
▲空中でディスプレイするオオジシギ(7月 北海道)

オオジシギは、冬になるとオーストラリア東部に渡ることが知られていましたが、昨年、GPS発信器を装着した追跡により、陸地には降りずに太平洋を一直線に南下して飛んでいくことが確かめられました(詳しくは、日本野鳥の会のブログをご参照ください)。我孫子市では、春と秋の渡りの時期に水田や草地などに立ち寄りますが、繁殖期の様な派手な行動はせずに、草地や湿地の中にそっと潜んでいます。

null
▲農道の草の中に身を隠すオオジシギ(8月 千葉県)

中継地には長くて1カ月ほど滞在し、その間に渡るための脂肪を体にたくわえます。4月にオーストラリアから渡ってきたばかりのオオジシギの体重は130gほどですが、8月に太平洋を越える旅に出る前の体重は260gほどに達します。短い期間に、自分の体重のおよそ2倍ほどにもなる脂肪を蓄積するのです。
長い距離を渡るためのエネルギーを補給するための場所として、農地はオオジシギにとって重要なのです。