少し前になりますが、今年の5月24日のこと、天王台駅北口にある天王台行政サービスセンターから、「鳥が窓ガラスに当たったけど、直ぐに死んでしまった」という連絡をいただきました。市内での鳥の資料収集は、博物館の重要な業務のひとつですので、その日のうちに死体を引き取りに伺いました。

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▲博物館で資料として登録したコジュケイの雄。

資料を見せていただくと、キジの仲間のコジュケイでした。コジュケイは中国原産の外来種で、今から100年ほど前に神奈川県で放鳥されたものが増えて、現在では東北地方から九州にかけての全国各地で普通に見られます。我孫子市でも、林の中から「チョットーコイ」と聞きなされる囀りを良く耳にしますが、本来は街の中にはほとんど出てこない鳥です。

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▲コジュケイの脚。

脚には、鋭い蹴爪(けづめ)がありました。これはキジの仲間の雄だけにみられる特徴で、なわばりや雌をめぐる闘争に使われるものです。

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▲コジュケイが衝突した天王台行政サービスセンターの窓ガラス。

このコジュケイは朝の8時ごろに、道路に面した窓ガラスに衝突したそうです(写真)。ガラスには道が反射しているため、向こう側に飛んで行こうとして衝突してしまったのでしょう。天王台駅北口にもっとも近い林でも、直線距離で400mほどの距離があります。そのため、コジュケイはこのあたりにいる個体ではないようです。5月はコジュケイの繁殖期に当たるので、雌を求めて林から林へと移動する途中だったのかもしれません。