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 今日のテーマトークは、山階鳥類研究所自然誌研究室の齋藤武馬さんにお話いただきました。テーマは、「ミソサザイってどんな鳥?こんな鳥」でした。
 かつての分類では、ユーラシア大陸、北米大陸にミソサザイという一つの種が分布することになっていましたが、近年の分子系統解析により、北米大陸のミソサザイの類縁が遠く、また北米の東西でも系統が二分されるということで、Eurasian Wren、Winter Wren、Pacific Wrenの三種に分けられるようになったそうです。
 また、日本国内に分布するEurasian Wrenは、絶滅した亜種ダイトウミソサザイを含めて、亜種ミソサザイ、亜種モスケミソサザイ、亜種オガワミソサザイの4亜種に地域別に分類されていますが、分子系統解析では、伊豆諸島に分布する亜種モスケミソサザイだけが大きく類縁が遠いとのことでした。
 さらに、国内のミソサザイのさえずりの研究も紹介され、渓流の音のような雑音の多いところで繁殖するミソサザイのさえずりほど大きな声で鳴き、沢から離れた山で繁殖するものは変化に富んだ声でさえずる傾向があるそうです。
 繁殖生態についての説明もあり、はじめオスが外装だけの巣を何カ所か造り、そこを気に入ったメスが内装を造り、その後の抱卵、育雛もメスだけが行うそうで、これまで一夫四妻まで知られているとのことでした。同じように小型の小鳥のセッカも一夫多妻で繁殖することが知られていて、これと比べた子育て戦略も興味深いお話でした。
 ミソサザイという鳥の生物学に関する総合的なお話で、この鳥に対する興味と理解が進みました。