鳥の博物館では毎年、鳥の繁殖期になると、次のような ポスターを掲示しています。

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 これは、巣を出た後のヒナが、巣から誤って落ちたものと誤解され、保護されてしまうのを防ぐためのものです。樹上に、草や枝を編んだ巣を設置する鳥は、巣が外敵に狙われやすく、ヒナが飛べるようになる前に、もう巣から出てしまいます。どれくらい早い時期に出るのかというと、これくらいです 。

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 この写真は7月 20 日(木)に、街路樹の上に営巣していたヒヨドリが巣から降りたところを撮影したものです。市民の方からの連絡を受け、当館職員が現地へ行くことになりました。人通りの多い駐輪場にある樹だったので、自転車に踏まれてしまわないように、この後、お店の方にお願いして、わざわざヒナの周囲にコーンを立てて頂きました。

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  大勢の市民が集まってきて、何事かと見守っていましたが、両親はすぐ後ろの樹の上で、興奮して羽を振るわせながら、人間に囲まれた我が子を心配そうに見守っていました。

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 その後、ヒナはいつの間にか姿を消したそうなのですが、その日は合計3羽が樹から降りてくるのを確認できたといいます。翌朝、様子を見に行ってみると、昨日の場所のすぐ近くで、ヒナを見つけることができました。

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 どうやら、ヒナはここまで自力で移動することができたみいでした 。エサをねだって鳴いている上、親鳥も頻繁に飛来するので、簡単に見つけることができました。

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 このような姿を見ると、カラスに襲われないか、とか、猫に襲われないか、などとついつい心配になってしまうのですが、人間が誤って保護してまうと、逆に、親鳥がヒナを見失ってしまい、エサを与えられなくなってしまいます。別に、ヒナは地面に落ちたからエサをもらえないわけではなく、親鳥はちゃんとヒナを見ていて、定期的にエサを運んできます。ですので、どうかヒナを見つけても、拾わずにそっとしておいてあげて下さい(当館の職員が行かなくても、大丈夫です )。