February19日Sunday: あびこ自然観察隊「観察しよう!手賀沼の冬鳥」を実施しました
2023年2月19日に、手賀の丘青少年自然の家との共催の観察会「観察しよう!手賀沼の冬鳥」を実施しました。21名の方にご参加いただきました。2つのグループに分かれて林から沼までの幅広い環境で観察を行いました。
まず、手賀の丘の林の中で小鳥の姿を探しました。シジュウカラなどのカラの混群や、松の木に止まってさえずるカワラヒワなどを観察できました。一方の班は池の奥では、オオタカの成鳥が水浴びしている珍しい光景を観察することができました。
▲池の奥で水浴びしていたオオタカの成鳥。
林を出ると、モズのつがいが草地で採食する様子や、なわばり宣言のためにギチギチと鳴きかわす姿が見られました。冬鳥のツグミやタヒバリも田んぼに降りているのが見られました。
手賀沼沿いに出て、用水路から飛び出したクイナ、沼の上を飛ぶミサゴ、ヨシの中で採食するアオジやオオジュリン、沼の水面で休息するカモの仲間を見ることができました。暖かく風もなかったので、ホオジロやヒバリがさえずっているのが観察できました。
農道の上に、何者かに捕食されたホオジロの羽毛が散らばっていました。どうやら哺乳類による捕食のようです。
▲散らばっていたホオジロの羽毛。
田んぼの中を歩いて手賀の丘へ戻り、12時ごろに観察のまとめをして解散しました。2グループ合わせて、43種の在来種の鳥と、3種の外来種の鳥を見聞きすることができました。関東地方では冬に鳥の種数と個体数が最も多くなります。さらに、これからの季節は繁殖の準備を始めている留鳥たちの行動もおもしろくなってきます。ぜひ身近なところで観察を楽しんでいただければ幸いです。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
December 4日Sunday: あびこ自然観察隊「夜の動物観察会」を実施しました!
2022年12月3日(土)に、あびこ自然観察隊「夜の動物観察会」を実施しました。21名の方にご参加いただき、冬の河川敷の生き物を夕方から夜にかけて観察しました。
日没前のまだ明るい時間に河川敷の駐車場に集合し、まずは夜行性の生き物たちの痕跡(フィールドサイン)を探してみました。溝のそばの草地には、わかりにくかったですがヤマシギが採食した跡や糞が見つかりました。例年観察できているタヌキのため糞や足跡は、今年は観察できませんでした。
△ヤマシギが嘴を地面に差し込んでできた穴。
河川敷で日没を待っていると、ねぐら前に集合しているツグミの群れや、利根川から飛び立ったカモ類の群れを観察することができました。ベニマシコ、アカハラ、モズ、キジなどがねぐら入り前に鳴きかわす声は良く聞こえましたが、それらの姿はあまりよく見えませんでした。
あたりが暗くなった17時すぎから、夜行性の動物の姿を探しました。ヤマシギは合計5羽ほどを周辺で観察できました。中には逃げずにじっとしている個体が2羽ほどいて、じっくり観察することができました。
△草地に降りていたヤマシギ(別の日に撮影した写真)。
今年は、これまでとは異なり観察場所周辺でのタヌキの数が少ないようで、いつものコースでは見ることができませんでした。そこで、下流側に移動しながら探したところ、なんとか1頭だけ見つけることができましたが、警戒心が強く、残念ながら全員で観察することはできませんでした。
その代わり、参加者の方に教えていただいたため糞を1か所で確認することができました。木の実や小動物の骨が入っている様子を見ることができました。
△タヌキのため糞。
一番下流側の駐車場まで行ったところで解散としました。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また鳥の博物館の自然観察会にご参加ください。
October 2日Sunday: 我孫子駅前のねぐら入り
秋から冬にかけて、夕方に我孫子駅前のロータリーに行くと鳥たちが集団でねぐら入りする様子が見られます。
ねぐらは漢字で「塒」と書き、鳥が寝ている場所のことを指します。
我孫子駅前のロータリーの木は、ムクドリやスズメ、ハクセキレイの集団ねぐらとなっていて、日没の30分ほど前から鳥たちが集まってきます。
日没前は周辺のビルに止まったり、上空を飛び回って忙しなく動き回っていますが、しばらくすると木の中に集まって寝始めます。
先週ざっくりと数えたところ、ムクドリが300羽ほど、スズメが200羽ほど、ハクセキレイが50羽ほどが集まって寝ていました。
ビルの看板の上の点々は全てムクドリで、数えると58羽いました。手前の木にも20羽ほど止まっているのが分かります。
数百羽もの鳥が集まるので、「襲ってきそうで怖い」と言われることもありますが、ねぐら入りに来た鳥が人を襲うことはありません。安心して観察してみてください。
ねぐらは漢字で「塒」と書き、鳥が寝ている場所のことを指します。
我孫子駅前のロータリーの木は、ムクドリやスズメ、ハクセキレイの集団ねぐらとなっていて、日没の30分ほど前から鳥たちが集まってきます。
日没前は周辺のビルに止まったり、上空を飛び回って忙しなく動き回っていますが、しばらくすると木の中に集まって寝始めます。
先週ざっくりと数えたところ、ムクドリが300羽ほど、スズメが200羽ほど、ハクセキレイが50羽ほどが集まって寝ていました。
ビルの看板の上の点々は全てムクドリで、数えると58羽いました。手前の木にも20羽ほど止まっているのが分かります。
数百羽もの鳥が集まるので、「襲ってきそうで怖い」と言われることもありますが、ねぐら入りに来た鳥が人を襲うことはありません。安心して観察してみてください。
September28日Wednesday: 鳥博からイソヒヨドリみえました
これまでも鳥の博物館の位置からイソヒヨドリの声が聞こえることはありましたが、最近は声だけでなく、姿も確認できることが増えてきました。出勤途中に「あっ、いた」なんて気軽にみかけるようになってきて、今後どうなっていくのか気になる鳥です。
鳥の博物館から撮影したイソヒヨドリ(2022.9.16撮影)
鳥の博物館から撮影したイソヒヨドリ(2022.9.16撮影)
August16日Tuesday: あびこ自然観察隊「ツバメのねぐら観察会」を実施しました!
2022年8月14日(日)に、あびこ自然観察隊「ツバメのねぐら観察会」を実施しました。16名の方にご参加いただき、手賀沼沿いを夕方から夜にかけて歩いて観察を行いました。
手賀沼の南岸にある「道の駅しょうなん」に集合し、ツバメのねぐらのある大津川の河口まで、1時間ほどかけてゆっくりと歩いて移動しました。途中、遊歩道沿いでさえずっているホオジロや、沼の杭にねぐら入りしているカワウを観察しました。
▲遊歩道沿いでさえずっていたホオジロ。繁殖期が長く、手賀沼周辺では9月上旬ごろまでさえずりが聞かれる。
18時30分ごろ、日没前後に大津川河口にある「ヒドリ橋」に到着しました。大津川河口のヨシ原の様子をみると、スズメはすでに多くがねぐら入りしていましたが、ツバメはまだ数が少ないようだったので、見通しの良いところで様子を見ることにしました。
▲大津川のヨシ原でツバメを待っているところ。
18時45分ごろから沼沿いのヨシ原の上を飛ぶ様子が観察できたので、ねぐら入り地点の近くに移動して観察を行いました。数千羽のツバメの群れが、ねぐら入り前にヨシ原の上を一斉に移動する様子を観察できました。ツバメの群れは真っ暗になる前、18時55分ごろからヨシの中に徐々に降りていき、19時ごろには飛んでいるツバメはほとんどいなくなりました。
▲ツバメのねぐら入りの様子(別の日に撮影した写真)。
帰り道では、夜の餌場に向かうカルガモの様子を観察したり、バットディテクター(高い周波数の音を人間の耳で聞こえるように変換する装置)を用いてアブラコウモリの声を聞いたりしました。19時50分ごろに道の駅まで戻り、現地で解散しました。
▲バットディテクターを使ったアブラコウモリの観察。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また鳥の博物館の自然観察会にご参加ください。
手賀沼の南岸にある「道の駅しょうなん」に集合し、ツバメのねぐらのある大津川の河口まで、1時間ほどかけてゆっくりと歩いて移動しました。途中、遊歩道沿いでさえずっているホオジロや、沼の杭にねぐら入りしているカワウを観察しました。
▲遊歩道沿いでさえずっていたホオジロ。繁殖期が長く、手賀沼周辺では9月上旬ごろまでさえずりが聞かれる。
18時30分ごろ、日没前後に大津川河口にある「ヒドリ橋」に到着しました。大津川河口のヨシ原の様子をみると、スズメはすでに多くがねぐら入りしていましたが、ツバメはまだ数が少ないようだったので、見通しの良いところで様子を見ることにしました。
▲大津川のヨシ原でツバメを待っているところ。
18時45分ごろから沼沿いのヨシ原の上を飛ぶ様子が観察できたので、ねぐら入り地点の近くに移動して観察を行いました。数千羽のツバメの群れが、ねぐら入り前にヨシ原の上を一斉に移動する様子を観察できました。ツバメの群れは真っ暗になる前、18時55分ごろからヨシの中に徐々に降りていき、19時ごろには飛んでいるツバメはほとんどいなくなりました。
▲ツバメのねぐら入りの様子(別の日に撮影した写真)。
帰り道では、夜の餌場に向かうカルガモの様子を観察したり、バットディテクター(高い周波数の音を人間の耳で聞こえるように変換する装置)を用いてアブラコウモリの声を聞いたりしました。19時50分ごろに道の駅まで戻り、現地で解散しました。
▲バットディテクターを使ったアブラコウモリの観察。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。また鳥の博物館の自然観察会にご参加ください。
July15日Friday: 窓を開けたらイソヒヨドリ
イソヒヨドリは全国の海岸、崖、河口やその周辺に生息する鳥です。近年、海岸周辺から、かなり内陸へ入ったところでもみられるようになってきました。駅やその周辺のビル街、ショッピングモールなどで子育てしている様子をみかけます。今シーズンは私の生活圏の駅周辺(9駅)全てでみられるようになり、さらに海なし県埼玉のとある駅や周辺のビルで子育てしていました。よく通る声でさえずり、建物に反響してよく声が聞こえます。飛びながらさえずる姿は目立ちます。
6月下旬、近隣の市で、窓をガラリと開けたら目の前の畑でイソヒヨドリがエサをとっていました。とうとう、こんな日が…。じっくり観察できました。
「青い鳥(オス成鳥)を見たのですが何という鳥でしょうか。」の問いに対する答えが、イソヒヨドリになることが多くなってきました。みなさんの周辺でもイソヒヨドリをみかけることがあるかもしれませんね。
6月下旬、近隣の市で、窓をガラリと開けたら目の前の畑でイソヒヨドリがエサをとっていました。とうとう、こんな日が…。じっくり観察できました。
「青い鳥(オス成鳥)を見たのですが何という鳥でしょうか。」の問いに対する答えが、イソヒヨドリになることが多くなってきました。みなさんの周辺でもイソヒヨドリをみかけることがあるかもしれませんね。
June 8日Wednesday: 梅雨の生きもの
梅雨に入り小雨の降る日が続くようになりました。雨だと外に出るのも億劫になってしまいますが、雨の日だからこそ出会える生き物もいます。
梅雨といえばでんでん虫、カタツムリを見かけることが多くなります。
鳥の博物館の周辺でも5~10種類くらいのカタツムリの仲間が見られます。ぜひ探してみてください。
ウスカワマイマイ。
名前の通り皮(殻)が薄いのが特徴です。コンクリ等の壁面によくついています。
ヒダリマキマイマイ。
上のウスカワマイマイと巻く向きが違います。ほとんどのカタツムリは右巻き(殻の中心部から時計回りに成長するのが右巻き)ですが、ヒダリマキマイマイは左巻きです。
鳥博のポンプ小屋の扉についているこの小さいものは…
ナミコギセルというカタツムリです。
普通のカタツムリと違って細長い形をしたカタツムリの一種です。キセル貝は、昔のタバコを吸う時の煙管(きせる)に形が似ているからついた名前なのですが、今では煙管を見ることはほとんど無いですね。
ナメクジ。
ナメクジも実はカタツムリの仲間で、正確には、カタツムリの一部の種が殻を無くす方向に進化したものがナメクジです。
このあたりで見られるナメクジは2種類いて、こちらはチャコウラナメクジです。この種類はまだ殻の痕跡が背中に見られます(少し白くふくらんだ部分)。
今年は10月のてがたんでナメクジをテーマにした観察会をします。興味あるかたはぜひご参加ください。
梅雨といえばでんでん虫、カタツムリを見かけることが多くなります。
鳥の博物館の周辺でも5~10種類くらいのカタツムリの仲間が見られます。ぜひ探してみてください。
ウスカワマイマイ。
名前の通り皮(殻)が薄いのが特徴です。コンクリ等の壁面によくついています。
ヒダリマキマイマイ。
上のウスカワマイマイと巻く向きが違います。ほとんどのカタツムリは右巻き(殻の中心部から時計回りに成長するのが右巻き)ですが、ヒダリマキマイマイは左巻きです。
鳥博のポンプ小屋の扉についているこの小さいものは…
ナミコギセルというカタツムリです。
普通のカタツムリと違って細長い形をしたカタツムリの一種です。キセル貝は、昔のタバコを吸う時の煙管(きせる)に形が似ているからついた名前なのですが、今では煙管を見ることはほとんど無いですね。
ナメクジ。
ナメクジも実はカタツムリの仲間で、正確には、カタツムリの一部の種が殻を無くす方向に進化したものがナメクジです。
このあたりで見られるナメクジは2種類いて、こちらはチャコウラナメクジです。この種類はまだ殻の痕跡が背中に見られます(少し白くふくらんだ部分)。
今年は10月のてがたんでナメクジをテーマにした観察会をします。興味あるかたはぜひご参加ください。
June 3日Friday: 子育てで賑わっています
最近は日差しが強く、蒸し暑い日も多いですね。「このままいくと夏の暑さに耐えられるのかなぁ」と不安に思いますが、毎年夏の暑い時期はいつの間にか過ぎています。暑さになれていく人間ってすごいですね。
個人的な感想はさておき、今の季節、鳥は忙しそうに子育てをしています。その様子は手賀沼周辺でもよくみかけます。ヒナがエサをねだる声、親がヒナを呼ぶような声。耳を澄ましてみると、いろいろな鳥の今しか聞けない声が聞こえてきます。最近出会った巣立ち雛の写真をご紹介します。鳥への影響を考え、撮影はみかけた位置から、観察も短時間に止めています。
▲スズメ 左:ヒナ、右:成鳥
ヒナがエサを受け取るところでした
▲ ヒナはくちばしの黄色い部分が目立ちます
▲ ハシボソガラス 左:成鳥、右:ヒナ
ヒナがエサをねだっていました
同じ木には3羽のヒナがいました。同じ場所でよく見かけました
▲ ヒナは目が青白く、口の中が赤っぽい
▲ムクドリのヒナ
数羽のヒナが動き回っていました
ムクドリは家の隙間や木の穴に巣をつくります
個人的な感想はさておき、今の季節、鳥は忙しそうに子育てをしています。その様子は手賀沼周辺でもよくみかけます。ヒナがエサをねだる声、親がヒナを呼ぶような声。耳を澄ましてみると、いろいろな鳥の今しか聞けない声が聞こえてきます。最近出会った巣立ち雛の写真をご紹介します。鳥への影響を考え、撮影はみかけた位置から、観察も短時間に止めています。
▲スズメ 左:ヒナ、右:成鳥
ヒナがエサを受け取るところでした
▲ ヒナはくちばしの黄色い部分が目立ちます
▲ ハシボソガラス 左:成鳥、右:ヒナ
ヒナがエサをねだっていました
同じ木には3羽のヒナがいました。同じ場所でよく見かけました
▲ ヒナは目が青白く、口の中が赤っぽい
▲ムクドリのヒナ
数羽のヒナが動き回っていました
ムクドリは家の隙間や木の穴に巣をつくります
May24日Tuesday: 2022年の手賀沼オオヨシキリ調査を実施しました!
5月24日に、2022年の手賀沼オオヨシキリのカウント調査を実施しました。雄が最も活発にさえずるこの時期に、目立つ場所に出てきている雄の数を数え、手賀沼の環境の変化をモニタリングすることを目的に実施しています。
例年、この調査には我孫子野鳥を守る会、鳥の博物館友の会、鳥博市民スタッフなどのみなさんに参加していただいているのですが、2020年、2021年と同様に新型コロナウイルスの感染対策のため、博物館スタッフだけで手分けして行いました。
▲ニセアカシアの枝にとまってさえずるオオヨシキリの雄。
今回は、手賀沼内では合計40羽、手賀川では28羽のオオヨシキリのさえずっている雄を数えました。
手賀沼内の数は、少なかった昨年(48羽)をさらに下回り、調査を始めた1987年以来*最も少なかった2011年と並ぶ最低数となりました。手賀川も、調査を開始した2012年以来最も少なかった昨年(48羽)をさらに大きく下回ってしまいました。囀るオオヨシキリの数は天候や人通りなどにも影響されやすいのですが、2年続けての減少傾向となったことは心配です。来年以降もモニタリングを継続していきたいと考えています。
*この調査は、1987年から開始され、1997年から2008年まで中断されたあと、2009年から再開されています。