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△捕獲許可を得て巣から取り出したモズの卵

8月20日に、2022年8月の「鳥のサイエンストーク」を実施しました。これまでと同様にYoutube liveを用いたライブ配信で行いました。今回は、山階鳥類研究所専門員の千田万里子さんに「鳥にまつわる法律のハナシ」と題してお話しいただきました。今回のお話は、2016年7月に対面の催しでお話しした内容の再演です。

落ちている鳥の羽を拾う、けがをしている鳥を保護する、巣を撤去したい、など「この行為はやってもいいのかな?」と迷うような具体的な事例を挙げていただき、その背景となる法律について解説していただきました。

日本で鳥の保護や管理にかかわる法律は大きく分けて3つあります。
(1)鳥獣保護管理法
鳥獣保護法では、野鳥は勝手に捕獲してはいけないこと、巣や卵の捕獲行為には許可申請が必要なことが定められています。狩猟の期間や対象となる鳥獣について定められているのもこの法律です。傷ついた野鳥を保護したりする場合は、まず都道府県等の担当部署に連絡をして許可を得ることが望まれます。

(2)種の保存法
国際的に野生動物の取引を規制するワシントン条約の国内法です。この該当種の羽毛を拾った場合、他の人に譲ったりすると違法となってしまいます。該当する種の死体などを見つけた際には、死因の究明などのため、担当する環境省の地方環境事務所に連絡してほしいとのことでした。

(3)文化財保護法
この法律によって天然記念物または特別天然記念物に指定されている種を捕獲したり、対象種の巣を撤去したりする場合には、文化庁の許可が必要となります。

加えて、各地方自治体などが独自に条例で保護を定めている場合もあるそうです。また、対応の方法が微妙に異なることもあるので、詳しくは該当する市町村や都道府県の担当部署に問い合わせるのが最も確実とのことです。
講演のあとに、防鳥ネットに鳥がかかってしまっている場合の対応方法、狩猟期間に捕獲した鳥獣を飼養することの問題点などについて、視聴者の皆さんからのご質問をいただき、千田さんにお答えいただきました。

今回のオンライン講演は、最大同時に106人の方に視聴いただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。今回は、9月3日(土)まで見逃し配信を行います。配信したURLと同一の以下のリンクよりご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=BnTMegXBink&t=6s

9月は鳥のサイエンストークはお休みです。次回、2022年10月の鳥のサイエンストークは、鳥の博物館の小田谷が、鳥の博物館が手賀沼周辺で行っている鳥類調査についてお話しします。配信方法などについては、山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館ウェブサイトで改めてご案内します。次回もぜひご視聴ください。