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 2019年11月3日(日)に、JBFゲストトークを実施しました。今回は「台日野鳥交流活動 −海外野鳥観察旅行の新たな楽しみ方−」と題して、台湾鳥会会長の林憲文さんと我孫子野鳥を守る会前会長の間野吉幸さんにご講演を頂きました。
 今回のゲストトークは、第84回企画展「世界からみた日本の鳥」の関連企画として実施しました。企画展では、島国である日本の鳥の特徴について紹介しています。それに関連して、同様に島国である台湾の鳥についてのお話を伺いたいと考え、ご講演をお願いしました。また、バードフェスティバルを通じて親交を深めている我孫子野鳥を守る会との交流活動についてもお話し頂きました。
 まず、林さんから台湾の固有種として、29種の鳥(※)をご紹介下さいました。色とりどりの美しい鳥たちの写真に加え、鳴き声の録音も聞かせて下さいました。音源の中にはユニークな鳴き声があり、それを、電報を打つ音や自転車のブレーキ音声などに例えて、大変分かりやすく教えて下さいました。
 次に、林さんは台湾と日本との市民レベルでの交流についてもお話し下さいました。林さんが、バードフェスティバルへの参加のたびに日本でのバードウォッチングを行っていると、地元の我孫子野鳥を守る会のメンバーが観察地を案内してくれるようになりました。その後、我孫子野鳥を守る会も、林さんの案内で台湾へ探鳥旅行に行くようになり、本格的な交流がはじまりました。林さんが我孫子野鳥を守る会とともに日本で訪れた探鳥地は、手賀沼、日光、軽井沢、伊豆沼とのことでした。特に印象に残ったのは、伊豆沼のマガンの大群で、日本で是非見てみたい鳥は、オジロワシとメグロだそうです。一方、日本人に見せてあげたい台湾の鳥として、固有種の他に、ヒゴロモ、ヤイロチョウ、キバネダルマエナガ、シロクロヒタキを紹介され、これらの生息地を案内されたいとのことでした。
 続いて、間野さんのご講演では、鳥を通じた交流活動の面白さについて紹介されました。日本では普通種であっても、台湾では見られない鳥がいます。逆に、台湾では普通種であっても、日本では見られない鳥がいます。どちらの国へ行っても、お互いに、外国人は地元では珍しくない鳥を見て感動するのが、とても面白いのだそうです。ただ鳥を見るだけではなく、「見方・感じ方のちがい」を楽しめるということが、国際交流の醍醐味とのことでした。
 間野さんはこれまでに6回、台湾へ探鳥旅行に行かれています。そして、林さんに案内して頂いたおかげで、29の固有種のうち、すでに27種を観察することができたそうです。台湾はアジアにおける親日国としても有名です。間野さんが台湾へ行くと、日本人にとても親切な、バードウォッチャーに出会うことがあり、驚かされるといいます。たとえば、相手が日本人だと分かると、鳥の居場所を教えてくれたり、カメラマンが、わざわざ場所を開けてくれることもあったそうです。
 間野さんは、林さんのご案内で台湾での植樹活動にも参加したそうですが、そこで植えた友好の木の苗が、大きな木に育ってゆく姿を見届けるために、今後も台湾を訪れたいとのことでした。そして、今後も両国の野鳥交流が続き、日本からさらに多くの人が台湾を訪れることを願いながら、講演は終了となりました。
 今回は30名の方にお集まりいただきました。ご参加下さいました皆様、有難うございました。また、林さんと間野さん、それから、林さんの通訳を引き受けて下さいました、張紋明さんに感謝いたします。


※ 台湾の固有種: ミヤマテッケイ、サンケイ、ミカドキジ、ゴシキドリ、ヤマムスメ、タイワンシジュウカラ、クロガシラ、ニイタカキクイタダキ、タカサゴミソサザイ、タイワンオオセッカ、アリサンチメドリ、カンムリチメドリ、チャガシラ、タケドリ、ホイビイ、キンバネホイビイ、ミミジロチメドリ、ヤブドリ、シマドリ、マルハシ、ヒメマルハシ、ルリチョウ、アリサンヒタキ、タカサゴマシコ、テッケイ、タイワンヤマガラ、メジロチメドリ、コバネヒタキ、タイワンツグミ