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8月のテーマトークは、「書籍にみる飼い鳥文化−大正から昭和にかけて−」と題して、山階鳥類研究所コレクションディレクターの鶴見みや古さんにお話しいただきました。31名の方にご来場いただきました。

日本には、江戸時代以前から独自の飼鳥文化が発展しており、その内容は江戸時代に記された「喚子鳥(よぶこどり)」の中にも見ることができます。その後、明治維新以降に西洋からもたらされた飼鳥文化と融合し、大正時代以降に鳥の飼育が流行しました。
山階鳥類研究所には、大正~昭和期に発行された鳥の飼育に関する雑誌が約70誌、単行本では700冊以上所蔵されており、そのコレクションから読み解けることをお話しいただきました。

大正10年に創刊された「かひどり」、「趣味の飼い鳥」などの雑誌は海外産の小鳥の飼育方法や飼育の難しい国産の飼い鳥など様々な内容を取りあげ、国内での鳥の飼育の研究成果の発表、普及啓発の場として盛り上がっていました。このような雑誌の中には、何と月刊誌もあったそうです。
昭和10年には「趣味の飼い鳥」から「国産飼鳥」→「鳥獣時事新聞」(昭和22年-53年)と名前を変えて発行が続きました。この時代にはセキセイインコやローラーカナリアの品評会が各地で行われ、優勝賞金が数十万円になるものもあったそうで、当時の飼育家の熱の入れ方が伝わってきます。

1982年から6年間かけて出版された「原色飼鳥大鑑」では、このように発展させた飼育技術は鳥類の保護増殖のために活用すべき、ということが記述されているそうです。時代の流れとともに、鳥の飼育が単なる趣味ではなく、応用的な目的にも活用されるように変化していったことがわかりました。

お話しいただいた鶴見さん、ありがとうございました。

*内容を一部修正いたしました(8/19)。