20151212-themetalk20151212.jpg
 12月のテーマトークを行いました。
 今日のテーマは、「鳥類学とバイオミメティクス〜鳥をまねした物づくり〜」で、山階鳥類研究所自然誌研究室の山崎剛史さんにお話していただきました。
 バイオミメティクスというあまり聞き慣れない言葉ですが、生物模倣と訳され、生き物の機能をまねて人のくらしに役立つ様々な技術への応用を目指す研究です。
 お話では、まず、生物の機能のすぐれた点として、素材が分解されること、レアアースなど限られた資源が不要なこと、常温・常圧ですぐれた機能を発揮することが紹介され、バイオミメティクスは、省エネ、循環型の持続可能な社会に適した技術であることが分かりました。
 はじめに、無反射素材として注目されるモスアイフィルム(ガの眼の構造の応用)やどんな材質にも跡を残さずしっかりくっつきまた剥がすことのできるヤモリテープなど、製品化されつつある技術が紹介されました。
 次に本題の鳥のバイオミメティクスのお話があり、小型で軽量、静かで安定した、しかも省エネ飛行できるはばたき飛行機の一例として、ドイツのFESTO社のSmart Birdについて飛行映像とともに紹介されました。
 さらに、「トビが油揚げをさらう」かのように、前進飛行しながら足で物をつかむ能力を応用したペンシルベニア大学が開発した飛び出す足を持つドローン型飛行機も紹介されました。この応用として、樹の枝に止まることのできるドローンも研究中とのことでした。
 この他、嘴ではげしく樹木を穿孔するキツツキがなぜ脳震盪をおこさないのか、その衝撃吸収のしくみも紹介され、身の周りに生物のすぐれた機能があふれていることが分かりました。
 最後に、現在山崎さんが工学系の研究者と共同研究しているフクロウの仲間の翼の消音のメカニズムに関する研究が紹介され、この分野がこれからどんどん発展していく新分野である可能性を伺い知ることができました。