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10月15日に、2022年10月の鳥のサイエンストークを実施しました。これまでと同様にYoutube liveを用いたライブ配信で行いました。今回は、鳥の博物館の小田谷が「手賀沼の鳥を調べる ―個体数モニタリングと鳥類相―」と題してお話ししました。

鳥の博物館では、開館以来、様々な形で地域の鳥類の調査を続けてきました。今回は、手賀沼とその周辺で行っている個体数のモニタリングと鳥類相の調査についてお話ししました。

鳥の博物館の調査活動の軸となるのは、手賀沼内の鳥類の数を毎月カウントしている手賀沼鳥類センサスです。この調査は、1988年から現在に至るまで(途中5年間の中断をはさんで)継続されています。調査を開始してから現在までの間に減少した種としてカイツブリ・ハシビロガモ・ミコアイサ・コアジサシ、増加した種としてカワウ、ミサゴ、コブハクチョウを紹介し、その推定される原因についてお話ししました。

この調査のほかに、手賀沼のヨシ原の環境を代表する鳥類であるオオバンとオオヨシキリについては、それぞれ毎年4月下旬と5月下旬に、その個体数と分布を記録する調査を行っています。その結果、両種ともに繁殖個体数は減少傾向にあることが示唆されています。

センサス調査に加え、様々な方法を用いて地域の鳥類相の把握に努めています。今回は、標本収集と捕獲・標識調査によって明らかになった鳥類の記録についてご紹介しました。我孫子市で拾得されたオオマシコやニュウナイスズメの鳥の博物館所蔵の標本は地域の貴重な記録であり、標識調査によってマキノセンニュウやオガワコマドリなどのこれまで記録されていなかった鳥類の分布記録も得られました。
今後も、地域の鳥類の情報センターとしての役割を担っていくため、現在行っている調査を継続していきたいと考えています。

講演のあとに、「魚食性の鳥のうち小型の種が減り、大型の種の個体数が回復しているように見えるのはなぜか」「外来植物のナガエツルノゲイトウが鳥類に与える影響はわかっているか」などの視聴者のみなさんからのご質問にお答えしました。

今回のオンライン講演は、最大同時に46人の方に視聴いただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。今回のライブ配信は、10月29日(土)まで以下のURLより見逃し配信を行います。
https://youtu.be/aIJn_tp4o98

11月のテーマトークはお休みです。次回、12月のテーマトークは、12月24日(土)に、山階鳥類研究所の岩見恭子さんに、鳥類標本の作製方法について、海鳥類を材料に解説していただきます。実施の日付は、今回に限り、従来の第3土曜日から変更となりますのでご注意ください。配信方法などについては、山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館ウェブサイトで改めてご案内します。次回もぜひご視聴ください。

参考資料:
手賀沼鳥類センサスの結果
https://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/info2/tyousakenkyu/teganumatyousa.html

我孫子市・手賀沼鳥類リスト(PDF直リンク)
https://www.city.abiko.chiba.jp/bird-mus/info1/kako.files/abiko_checklist.pdf