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11月4 日(日)に、JBFゲストトークを実施しました。「海ゴミ GO ME! 〜ゴミが鳥や動物に与える影響、減らすために私たちができること〜」と題して、神奈川野生動物救護連絡会の葉山久世さんにお話しいただきました。

葉山さんは獣医師として、神奈川県で野生動物の救護事業に携わってこられました。保護されてくる野生鳥類の救護原因は、犬・猫による捕獲や巣立ちヒナの誤認保護が多いようですが、釣り糸や釣り針が原因のものも多くあり、こうしたことから海岸に漂着するゴミについて関心を持ったそうです。

実際に釣り糸・釣り針が野生動物に悪影響を与えた例を、カモメ類、カワウ、カワセミなど多くの被害鳥の画像を使って紹介いただきました。こうした釣り糸や釣り針による被害は、元気なうちは捕獲することが難しく、保護できるのは死が近づいてからになってしまうため、救護されるのは被害鳥のごく一部です。そのため予防が重要になるわけですが、各地域によって釣りに関わるゴミの種類やそこにいる鳥の種は様々であるため、各地域の状況に応じた対策が必要となる、とのことでした。

海岸に漂着するゴミを調べると、場所によって異なるものの、人工物由来のゴミのうちおよそ50%ほどがプラスチックのごみでした。プラスチックは紫外線や波風を受けて細かく砕けて、マイクロプラスチックと呼ばれる小さい粒になります。こうした粒はPCB(ポリ塩化ビフェニル)などの有害な物質を吸着して、周囲の海水の数十万倍もの濃度で蓄積していることもあるそうです。こうしたマイクロプラスチックが野生動物に与える影響はまだ未解明の点が多くありますが、ミズナギドリの仲間では、胃の消化液によって化学物質が溶け出してしまい、体内に取り込まれることが分かっています。私たちがプラスチックを日常的に使い、捨てるようになってから、まだ50年ほどしかたっていませんので、今後どのような影響が起こりうるのか、きちんと研究していく必要があるとのことです。

それでは、海のゴミに私たちはどのように向き合えばよいのでしょうか?
まず、できるだけゴミを出さずに適切な方法で処理を行うこと、自然環境の中に流出してしまったゴミについては、マイクロプラスチックになる前にできるだけ多く除去するため、ゴミ拾いを続けることが重要だそうです。また、ゴミ拾いの活動をすることによって、ゴミを意識し、ゴミを少なくすることや適切な分別の意識を高めることにつながるのではないか、と葉山さんはおっしゃっていました。

今回は29名の方にご来場いただきました。お話しいただいた葉山さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。