今日のテーマは、「富士山の野鳥と垂直分布〜どの鳥がどの高さに棲んでいるのか〜」で、山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の森本元さんにお話いただきました。
 森本さんは、富士山をフィールドにルリビタキをはじめさまざまな鳥類の生態を研究しています。はじめに、車中泊しながらのハードな調査の実際と富士山の地史的・生態学的・文化的な特徴の紹介がありました。また、富士山周辺には、火山特有のがれ場、高原、ヨシ原、広葉樹林、針葉樹林、植栽された人工林など、多様な環境があることが紹介され、それだけ鳥相も豊富であることが理解できました。
 富士山は海抜0mから3776mまで日本一高低差のある山ですが、例えば関東と北海道の鳥相が違うように、標高ごとにはっきり鳥相が異なり、短い距離の移動で大きな鳥相の変化を感じる醍醐味があることも紹介されました。
 垂直分布のお話では、キジ科、フクロウ科、カッコウ科、キツツキ科、ハト科、ヒバリやビンズイ、ツグミ科、ヒタキ科、ムシクイ科やウグイス、シジュウカラ科、ホオジロ科、アトリ科、カラス科など各グループごとに解説され、グループ内の各種の生息する標高が異なっていることが紹介されました。その中で、フクロウやコゲラ、キジバト、ヒバリ、ウグイス、ホオジロ、ハシブトガラスなど、平地の市街地周辺で見られる鳥が意外にも標高2,000mあたりまで生息していることが分かり、これらの鳥の環境適応性の広さを改めて感じました。
 これからの季節、山の鳥たちは繁殖期に入り、よくさえずり、活発に活動します。お話を聞いて、皆、富士山に鳥を見に行きたくなったと思います。ありがとうございました。