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 今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室上席研究員の岡奈理子さんに「オオミズナギドリの持ち時間ーノネコが増えた海洋島の今ー」というテーマでお話しいただきました。
 岡さんは、長年にわたって伊豆諸島の御蔵島でオオミズナギドリの生態調査に関わってらっしゃいます。近年では野生化したネコがオオミズナギドリ個体群に及ぼす影響について調査し、島からのノネコの排除に向けて精力的に活動されています。今回はオオミズナギドリの基礎的な生活史から、現在のノネコの生息状況と島外への持ち出しへの現状についてお話しいただきました。
 御蔵島のノネコは現在500頭以上と推定されており、オオミズナギドリがいない冬期には集落の周りに集まるものの、それ以外の時期は島の広い範囲で確認されているそうです。オオミズナギドリの成鳥・幼鳥ともに多数の個体が捕食に遭っています。頭部だけながなくなっており、ほとんど食べられていない死体も多く見つかるそうです。これまでは、ノネコを捕獲し避妊・去勢手術を行ったあとで放獣する対策が取られていました。しかし、その後設置したセンサーカメラに写るネコのうち手術済みの個体の割合は低く、このままの対策を行っていてもノネコの個体数を減少させることは難しそうだとのことです。近年行われた調査から、オオミズナギドリは年間約2万羽のペースで減少しており、このまま減少が続けばあと30年あまりで御蔵島の繁殖コロニーが絶滅してしまう可能性すらあるそうです。島民の方と連携してネコの島外持ち出しの活動を今後も進めていかれるとのことでした。