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 今日のテーマは、「バンディングってなあに?」で、山階鳥類研究所保全研究室専門員の吉安京子さんにお話いただきました。
 一般には聞き慣れないバンディングという言葉ですが、これは鳥類標識調査のことで、鳥を捕獲し、標識(一般的には足環)を付けて放鳥し、再捕獲の記録を集めて渡りなど野鳥の移動経路を知ることを目的とした調査です。標識調査者をバンダーと呼んでいます。現在、標識調査は環境省の所管事業であり、山階鳥類研究所が委託を受けて実施しています。
 一口に標識調査と言っても、野鳥を安全に捕獲する技術、鳥の種類や雌雄・成幼の識別能力、正確な計測や報告能力、第三者への説明能力など、さまざまなスキルが必要です。このための講習会が行われ、指導者が充分な能力があると認めた場合に、標識調査のライセンスが授与され、バンダーとなります。
 最近の傾向として、このバンダーの数は減少気味(特に20歳代)で、高齢化が進んでいるのが課題とのことでした。多くのバンダーは、ボランティアです。若い、優秀なバンダーを数多く育てるためには、参加しやすい形で、経験をできるだけ積むことができるようなシステムが必要とのことで、今後は、各地域で経験を積んだバンダーが指導者となり、地域ごとにバンダー予備軍に経験を充分に積んでもらい、最終的に座学の講習会とバンダー適正を見極める試験を行うシステムを検討中とのことでした。
 日本の鳥類の移動経路はもちろん個体群の動向をモニタリングしたり鳥類の識別に関する情報を蓄積整理するために欠かせぬバンディング、新システムがうまく機能して、若手バンダーが増え、日本の鳥に関する知見がどんどん増えるといいですね。