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 今回は、山階鳥類研究所保全研究室の千田万里子さんに、南大東島(沖縄県)で子育てするモズのお話をしていただきました。
 南大東島のモズがすみついた歴史は浅く、1970年代中頃から80年代後半にかけてはじめて見られるようになったそうです。また、モズの繁殖地の南限といわれる種子島からさらに南東に約500km離れた孤島という、モズの分布から見ると、地理的にも特別な場所とのことで「絶海の孤島で生きるモズの子育て戦略」というタイトルのお話でした。
 はじめに、南大東島のモズの子育てについて、造巣、産卵、抱卵、孵化、育雛と繁殖ステージに沿って写真で分かりやすく示してくださいました。
 その上で、南大東島のモズの子育て戦略ののお話をしてくださいました。南大東島で繁殖するモズは、雌雄で寿命がちがい、メスは2年以上生きるものが少なく、オスに比べて短命なのだそうです。また、雌雄で、餌をたくさん与えたがるヒナの大きさに差があるそうです。これは、繁殖のチャンスが少ない短命なメスがより多くのヒナを育てたいのに対し、繁殖のチャンスが多いオスは、より大きな丈夫なヒナを育てようとしているからかも知れないとのことでした。
 同じ種でもそれぞれの立場がちがえば目標もちがい、どのあたりで折り合いをつけているのか考えさせられる興味深いお話でした。
 南大東島は、モズにとって、カラスやヘビなどの天敵が少なく、気候温暖で餌も豊富なすみよい場所に思われますが、一方で、台風の通り道であり、マラリアの感染率も高く、主食となるバッタの寄生虫が原因でコブが出来ることもあり、新参者のモズにとっては、まだまだ苦労が多いようです。