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 テーマトークは、山階鳥類研究所の研究員にとっておきのお話をしていただいてくトークイベントです。今日は、同研究所自然誌研究室主席研究員岡奈理子さんに、「海鳥とノネコの仁義なき戦い」というテーマで、伊豆諸島御蔵島におけるオオミズナギドリのノネコによる食害の現状についてお話いただきました。
 江戸時代から、住民が貴重なタンパク源としてオオミズナギドリを食料としていたそうですが、資源を枯渇させないよう管理された資源利用により、個体数が維持されていました。
 しかし、1990年以降、新住民の移出入が増加すると、引っ越しに伴い、ペットの飼い猫が野外に放置されるケースが増え、その結果、ノネコが急増しました。それとともに、多くのオオミズナギドリが捕食されるようになり、年間約29,160羽がノネコの被害にあっているとの試算があります。このままの状況が続くと、世界最大のオオミズナギドリの繁殖地である御蔵島の繁殖個体群の激減が予想され、予断が許されない状況です。
 ノネコを捕獲し避妊処置を施すなど、対応策は進められていますが、愛猫家の感情等、さまざまな条件をクリアーしながら、ノネコ個体数の効果的なコントロールが急務だそうです。