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 今月のテーマトーク(2013年6月8日)は、岡奈理子さん(公益財団法人山階鳥類研究所自然誌研究室上席研究員)にお話いただきました。
 テーマは、「鳥の行動から放射能被曝を予測する〜海鳥オオミズナギドリを例に考える〜」でした。
 3.11東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故では、四基の原子炉が爆発し、放射性物質が放出されました。その約7割が海洋に散布されたと考えられ、さらに長期に渡り陸域からの自然流出も続きます。この海域は、暖流と寒流が会合する生物生産性の高い漁場であり、御蔵島など本州沿岸の島で繁殖するオオミズナギドリの絶好の餌場となっています。当然、採餌を通じて生物濃縮された放射性物質を取り込んでいるものと考えられ、その影響も懸念されます。しかし、オオミズナギドリのように、1000キロ以上の海域を日常的に移動する鳥は、さまざまな環境条件の中で生活しているため、3.11以降の鳥の形態、生態の変化が見つかったとしても、それが何を原因としているのか、その因果関係を短期的にとらえるのは相当難しいことも分かりました。