December 7日Saturday: 友の会展スタート

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投稿者: someya
 本日、第85回企画展「第15回友の会展」がスタートしました。鳥の博物館友の会は博物館活動に協力しながら、鳥や自然を学び、親睦を深めることを目的として平成13年4月に設立されました。
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 博物館活動への協力のほか、友の会に設けられた5つのグループ(みて歩こう会・デジカメ同好会・鳥凧同好会・鳥絵同好会・万葉集同好会)ごとの自主活動も活発です。友の会展ではその活動成果を紹介しています。友の会展は来年1月13日(月・祝)まで。ぜひご来館下さい。
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▲準備の様子。友の会が中心となって作業をしました。(写真は万葉集同好会)

完成した展示の様子を一部ご紹介。
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▲鳥凧同好会
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▲鳥絵同好会
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▲デジカメ同好会
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▲みて歩こう会
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投稿者: iwamoto
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 2019年11月3日(日)に、JBFゲストトークを実施しました。今回は「台日野鳥交流活動 −海外野鳥観察旅行の新たな楽しみ方−」と題して、台湾鳥会会長の林憲文さんと我孫子野鳥を守る会前会長の間野吉幸さんにご講演を頂きました。
 今回のゲストトークは、第84回企画展「世界からみた日本の鳥」の関連企画として実施しました。企画展では、島国である日本の鳥の特徴について紹介しています。それに関連して、同様に島国である台湾の鳥についてのお話を伺いたいと考え、ご講演をお願いしました。また、バードフェスティバルを通じて親交を深めている我孫子野鳥を守る会との交流活動についてもお話し頂きました。
 まず、林さんから台湾の固有種として、29種の鳥(※)をご紹介下さいました。色とりどりの美しい鳥たちの写真に加え、鳴き声の録音も聞かせて下さいました。音源の中にはユニークな鳴き声があり、それを、電報を打つ音や自転車のブレーキ音声などに例えて、大変分かりやすく教えて下さいました。
 次に、林さんは台湾と日本との市民レベルでの交流についてもお話し下さいました。林さんが、バードフェスティバルへの参加のたびに日本でのバードウォッチングを行っていると、地元の我孫子野鳥を守る会のメンバーが観察地を案内してくれるようになりました。その後、我孫子野鳥を守る会も、林さんの案内で台湾へ探鳥旅行に行くようになり、本格的な交流がはじまりました。林さんが我孫子野鳥を守る会とともに日本で訪れた探鳥地は、手賀沼、日光、軽井沢、伊豆沼とのことでした。特に印象に残ったのは、伊豆沼のマガンの大群で、日本で是非見てみたい鳥は、オジロワシとメグロだそうです。一方、日本人に見せてあげたい台湾の鳥として、固有種の他に、ヒゴロモ、ヤイロチョウ、キバネダルマエナガ、シロクロヒタキを紹介され、これらの生息地を案内されたいとのことでした。
 続いて、間野さんのご講演では、鳥を通じた交流活動の面白さについて紹介されました。日本では普通種であっても、台湾では見られない鳥がいます。逆に、台湾では普通種であっても、日本では見られない鳥がいます。どちらの国へ行っても、お互いに、外国人は地元では珍しくない鳥を見て感動するのが、とても面白いのだそうです。ただ鳥を見るだけではなく、「見方・感じ方のちがい」を楽しめるということが、国際交流の醍醐味とのことでした。
 間野さんはこれまでに6回、台湾へ探鳥旅行に行かれています。そして、林さんに案内して頂いたおかげで、29の固有種のうち、すでに27種を観察することができたそうです。台湾はアジアにおける親日国としても有名です。間野さんが台湾へ行くと、日本人にとても親切な、バードウォッチャーに出会うことがあり、驚かされるといいます。たとえば、相手が日本人だと分かると、鳥の居場所を教えてくれたり、カメラマンが、わざわざ場所を開けてくれることもあったそうです。
 間野さんは、林さんのご案内で台湾での植樹活動にも参加したそうですが、そこで植えた友好の木の苗が、大きな木に育ってゆく姿を見届けるために、今後も台湾を訪れたいとのことでした。そして、今後も両国の野鳥交流が続き、日本からさらに多くの人が台湾を訪れることを願いながら、講演は終了となりました。
 今回は30名の方にお集まりいただきました。ご参加下さいました皆様、有難うございました。また、林さんと間野さん、それから、林さんの通訳を引き受けて下さいました、張紋明さんに感謝いたします。


※ 台湾の固有種: ミヤマテッケイ、サンケイ、ミカドキジ、ゴシキドリ、ヤマムスメ、タイワンシジュウカラ、クロガシラ、ニイタカキクイタダキ、タカサゴミソサザイ、タイワンオオセッカ、アリサンチメドリ、カンムリチメドリ、チャガシラ、タケドリ、ホイビイ、キンバネホイビイ、ミミジロチメドリ、ヤブドリ、シマドリ、マルハシ、ヒメマルハシ、ルリチョウ、アリサンヒタキ、タカサゴマシコ、テッケイ、タイワンヤマガラ、メジロチメドリ、コバネヒタキ、タイワンツグミ
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投稿者: someya
 先日、企画展「世界からみた日本の鳥」が4ヶ月の展示期間を無事に終了しました。ご来場いただきましたみなさま、ありがとうございました。
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 今回は企画展内で行っていたアンケート「あなたが選ぶ日本らしい鳥は?」の結果をご報告します。アンケート実施期間は2019年7月13日から11月24日まで。企画展内で紹介している鳥から6種を取り上げ、その中から日本らしい鳥はどれか、ご来場のみなさまに選んでいただきました。個人的な思い入れはもちろんのこと、自由に選んでいただきました。6種の鳥はヤマドリ、キジ、カルガモ、トキ、タンチョウ、ウグイスです。

 結果はっぴょーう!じゃ、じゃーん!
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 1票につき、赤シール1つです。赤シールに目がチカチカしながらも地道にシールをはりました。
集計結果は、
1位 キジ    453票
2位 ウグイス  342票
3位 タンチョウ 305票
4位 トキ    259票
5位 ヤマドリ  133票
6位 カルガモ  107票

 以上の結果となりました。1位に輝いたのはキジでした。国鳥のキジは身近な鳥でもありますし、やはり人気がありますね。
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投稿者: iwamoto
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 10月19日に、2019年10月のテーマトークを実施しました。今回は、我孫子市鳥の博物館学芸員の岩本二郎が、「我孫子駅前でのイソヒヨドリの繁殖調査」と題して話をさせて頂きました。
 イソヒヨドリは、かつて日本では海岸沿いで見られていましたが、最近は内陸部でも見られるようになってきており、JR我孫子駅前でも繁殖が確認されるようになりました。この鳥の内陸進出の理由を解明するため、2017年から我孫子市において、営巣場所と食性についての調査を実施しました。
 イソヒヨドリの営巣場所はいずれもJR我孫子駅前で、2017年に2巣、2018年に3巣、2019年に2巣を確認しました。営巣に利用されていたのは、換気扇の覆いの中、大型量販店の立体駐車場、金属屋根の中、排煙管の裏といった、コンクリートの建物にある人工物でした。いずれも垂直な壁の上にあり、また、周囲をコンクリートや金属のような固いものに囲まれた隙間で、イソヒヨドリが海岸で営巣する際に利用する岸壁の岩の隙間と共通点がありました。このような構造物が増えたことが、イソヒヨドリの内陸進出を促進した可能性があると考えられました。
 食性調査では、2年続けて営巣した同じ巣で、2017年と2018年にヒナに運んできた餌の種類を記録しました。そこからは都市部で繁殖するイソヒヨドリが雑食性で、いろいろな種類の動植物を幅広く食べていることが分かりました。どちらの年も、よく運ばれてきた餌は、昆虫の成虫(アリ、ハサミムシ、甲虫、ユスリカ、ガやチョウ)、昆虫の幼虫(ガやチョウ、甲虫等)、ムカデ、木の実などでした。この中で、ムカデについては、イソヒヨドリが人工的な環境である線路に降りて、ムカデを捕食する様子を観察することができました。そして、イソヒヨドリの都市部での採餌には、人工物も役立っていると考えられました。
 今回の調査では、建物の所有者の方に調査を許可して頂いたり、情報を提供して頂くなど、我孫子市民の皆様には大変お世話になりました。皆様のご協力のお陰で、調査の難しい市街地でのイソヒヨドリの生態について、貴重な知見を得ることができました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
 また、今回は31名の方にお集まりいただきました。ご参加下さいました皆様、有難うございました。
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投稿者: odaya
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11日2日(土)に、第29回JBF鳥学講座をアビスタホールにて開催しました。今回は「島の鳥類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―」と題して、北海道大学大学院理学研究院教授の高木昌興さんと、山階鳥類研究所保全研究室長の水田拓さんにお話しいただきました。また、2つの講演の終了後に、山階鳥類研究所副所長の尾崎清明さんを交えて、質疑応答とディスカッションを行いました。

トップバッターの高木昌興さんからは、「『島の鳥類学』の面白さ―リュウキュウコノハズクを例に―」と題してお話しいただきました。まず、島に分布する生き物の特徴について理論的な背景をお話しいただきました。動物が島に辿り着くには、海を越えて移動する必要があります。鳥は翼を持って自らの力で移動していくことができますが、島は面積が狭く、環境の多様性に乏しいので、一般的に大陸よりは種数が少なくなります。島にいる生き物の種数には、大陸からの距離と島の面積によって関係する法則があります。また、陸からの距離が近いほど、また面積が大きいほどそこにいる種類の数は多くなります。

科学や人類史に関する著作も多くあるカリフォルニア大学のジャレド・ダイヤモンド教授は、もともとは島の鳥の研究者でした。そのダイヤモンド教授の初期の研究で、カリフォルニア沖のチャネル諸島の鳥類相の経年変化を比較したものがあります。1917年と1968年に鳥の種構成を調べた結果、およそ50年の間に種数は大きく変化していませんでしたが、種構成は大きく変化していました。このように、島では種の絶滅と新たな侵入が繰り返されることで、平衡状態を保つのではないかと考えられています。
また、歴史的に他の地域と分断されている時間が長いと、そこでは新しい種に分かれる進化が起こります。ハワイ諸島やガラパゴス諸島では、大陸からの距離は離れていますが、島の中で起こった適応放散によって、多くの固有の種が分布しています。

日本の島々に目を向けて、伊豆諸島と小笠原諸島を例に考えてみます。本州からの距離が比較的近い伊豆諸島と、1000kmほど離れた小笠原群島では、繁殖する陸鳥の種はそれぞれ31種と13種で、伊豆諸島の方が多いのに対し、固有種・亜種の種数はそれぞれ8種と10種で、小笠原群島の方が多くなっています(絶滅種を含む)。日本の島々にも、これらのルールは当てはまるようです。

続いて、ご自身の研究テーマであるリュウキュウコノハズクの研究についてお話しいただきました。リュウキュウコノハズクは南西諸島全体に分布しますが、沖縄島から宮古島までの慶良間海裂よりも南側では、体が大きく、より低くゆっくり鳴くのに対して、北側の集団では体が小さく、より高く速く鳴くことが高木さんの研究で分かりました。実際に録音した鳴き声を会場で流していただき、島によって鳴き声が大きく異なることが良くわかりました。島ごとに異なる鳥の形態や生態を比較することで、進化の歴史を垣間見ることができるのです。

次に、水田さんからは、「『南西諸島の鳥類学』の面白さ―オオトラツグミを例に―」と題してお話しいただきました。
南西諸島は九州の南から台湾の東までに連なる198の島々からなります。日本の本土の島々と比較すると種数は少ないものの固有種や固有亜種の数は多く、生物多様性の保全上重要な地域とみなされています。
中でも、奄美諸島は鳥類では2種の固有種(ルリカケスとアマミヤマシギ)、4種の固有亜種(オーストンオオアカゲラ、アマミコゲラ、オオトラツグミ、アマミシジュウカラ)が分布しています。鳥類のほかにもアマミノクロウサギやアマミイシカワガエルなど、世界中でここにしかいない貴重な動植物が分布しています。そのことから、政府や鹿児島県では徳之島、沖縄島北部、西表島と併せてユネスコの世界自然遺産への登録を目指しています。

その奄美大島に分布するのがトラツグミの亜種であるオオトラツグミです。本土に分布するトラツグミに良く似ていますが、その名の通り少し体が大きいです。最も大きな違いは鳴き声で、マミジロに似た「キョローン」という声で鳴きます。このことから、トラツグミとは別の種類であると考える人もいます。

オオトラツグミは1905年に鳥類学者の小川三紀(おがわ・みのり)によって新種として記載されました。当時から数の少ない鳥と考えられていましたが、第二次世界大戦の後にアメリカから返還された1953年以降、森林伐採が進んだこと、1979年からハブの対策を目的としたマングースの放獣が行われたことによってさらに数を減らしてしまいました。1990年代に奄美野鳥の会によって行われた調査では個体数はわずか58羽ほどであることが分かりました。

水田さんは2006年に奄美に赴任され、この減少したオオトラツグミの保全に携わることになりました。絶滅危惧種を守るためには、どこに分布し、何を食べ、どのように繁殖し、何羽いるのか、なぜ減っているのかを調べる必要があります。水田さんはこれらの問題に取り組むために、オオトラツグミのこのような生態を調査することにしました。

地元の自然愛好家の人たちと協力して奄美大島内での分布をさえずっている個体の聞き取りによって調べたところ、島の中部から南部、標高と林齢が高いところ、マングースが少ないところで数が多いことが分かりました。水田さんが調べるまでオオトラツグミの巣はわずか3巣しか見つかっていませんでしたが、これまでに95巣が見つかり、太い木の又や岩棚に作られていることが判明しました。見つけた巣のうち11巣で親がヒナに持ってくる餌を観察したところ、その80%がミミズであることが分かりました。さらに、前述のさえずり調査結果から、現在では2000-5000羽程度が生息し、個体数は増加傾向にあることが分かりました。森林の保全やマングースの駆除がうまくいっている成果の一つと考えられます。

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▲質疑応答のようす。左から、尾崎さん、高木さん、水田さん、平岡さん(司会)。

質疑応答とディスカッションの時間では、まず尾崎さんからヤンバルクイナの発見とその後の保全活動に関する紹介があり、その後、会場からの質問を受けました。リュウキュウコノハズクの地理的変異はどのような生態的な意味があるのか、奄美大島で進化を遂げた固有種には特別な能力があるのか?といった質問がありました。

続けて、登壇者3名によるディスカッションを行いました。鳥は翼があるのになぜ固有種になる?という平岡さんからの質問に対しては、「移動しないほうが沢山の子を残すことができるような環境で進化する」「鳥は意外と保守的で、生まれ育った環境からあまり大きく分散しない傾向がある」ことが島の鳥の特徴としてあげられるのではないか、というお話がありました。最後に、3人の登壇者の方に島でのバードウオッチングの楽しみ方について伺いました。島と本土との違い、島ごとの行動の違い、渡り鳥の渡り経路について注目して観察を楽しむと、より深く島でのバードウオッチングを楽しめるのでは、とのお答えをいただきました。

今回の鳥学講座では、島の鳥たちの観察の楽しみ方について、単に本土と種や亜種が違うというだけではないさまざまな視点をご紹介いただけたと思います。

ライブビューイングの会場と併せて172名の方にご来場いただきました。ご登壇いただいた高木さん、水田さん、尾崎さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

当日のレジュメは、以下からもご覧いただけます。
http://www.yamashina.or.jp/hp/event/images/chogaku_koza19.pdf

今回のお話のもとになった書籍は、こちらです。
鳥の博物館ミュージアムショップでも11月中旬以降に扱う予定ですので、ぜひご購入ください。
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投稿者: odaya
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8月17日に、2019年8月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の岩見恭子さんに、「鳥類標本の作り方 ―いろんな標本をつくってみよう―」と題してお話しいただきました。

鳥類に関する標本というと、まずは剥製(はくせい)を想像しますが、そのほかにも部分的な翼、羽毛、骨格、卵、巣、胃内容物やヒナなどの液浸標本など、さまざまな種類があります。山階鳥類研究所のこれらを合わせておよそ8万点の鳥類標本が保管されており、アジアではトップクラスの収蔵数を誇っています。その多くが研究用の仮剥製(かりはくせい)です。

山階鳥類研究所では、一般の方から提供される野外で拾われた鳥の死体、動物園や野生動物保護センター等からの提供資料を合わせて年間約800羽ほどの鳥の遺体資料を受け入れて標本を収集されています。

これらの標本は、同じ場所から何点も集められることがありますが、なぜ沢山集める必要があるのでしょうか? その理由のひとつとして、北海道におけるオジロワシの食物を、標本の羽毛の安定同位体比から調べた研究をご紹介いただきました。100年前に採集された標本と現代の標本を比べてみると、昔に比べて食物の内容や採食域が多様になり、シカの狩猟残渣なども食べるようになった可能性があることが分かったそうです。私たちは過去にさかのぼって標本を収集することはできません。この時代を代表する資料は今保存しておかなくてはならないのです。

続いて、ホールの前に集まっていただき、実物の標本を回覧しながらお話しいただきました。オオミズナギドリやコシジロウミツバメなどの独特な羽毛の臭い、ギンザンマシコの嘴に付いた松ヤニの臭いをかいだり、実物の標本から分かることをご紹介いただきました。

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▲ぬいぐるみを用いた剥製標本の作り方の解説

岩見さんが剥製の作り方を説明するために自作されたぬいぐるみ「かけすちゃん」を用いて、剥製標本がどのように作られるかを分かりやすく説明いただきました。続けて、ニワトリの卵を使って、卵標本の作り方を実演していただきました。卵の側面に穴をあけて60℃くらいのぬるま湯に浸けると中身が効率よく取り出せるそうです。最後に、実物のアカショウビンの翼を使って翼標本をどのように作るかについても実演していただきました。

今回は、34名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた岩見さん、ありがとうございました。
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投稿者: odaya
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7月20日に、2019年7月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所保全研究室研究員の仲村昇さんに、「渡り鳥のふしぎ:春と秋で違うルートを使う種類がいるのはなぜ?」と題してお話しいただきました。

鳥の行う渡りとは、繁殖地と非繁殖地の間の往復の移動のことを指します。そのほかの移動、たとえば、日々の餌場と休息場所の間の移動や、生まれた場所からの分散は、渡りとは区別されます。この渡りルートの往復を、同じルートで行き来する種と、違うルートを使う種の両方が知られています。このような渡りの形態を、loop migration(ループ型移動)といいます。

loop migrationを行うかどうかは、季節によって異なる中継地での餌の有無、渡りに適した風が吹くかどうかなどが関係していると考えられています。近年の衛星追跡やデータロガーの開発によって沢山の鳥の移動経路が分かって来ましたが、その中からループ型移動を行うことが判明した種の渡り経路の研究成果をご紹介いただきました。

日本で繁殖するハチクマは、インドネシアなどの越冬地まで渡りをしますが、その経路は春と秋で異なることが知られています。秋は日本列島を南下した後、九州の西端から飛び立って東シナ海を横断して大陸に入りますが、春の渡りでは、越冬地から北上したのち朝鮮半島の北側まで回り込み、対馬を通って日本に帰ってきます。これは、複数個体の追跡によって判明した固定した渡り経路で、たまたま1個体がこのように往復したというだけではありません。

アラスカで繁殖するオオソリハシシギやムナグロは、それぞれニュージーランドや太平洋の島々で冬を過ごしますが、彼らは大規模なループ型移動を行います。繁殖を追えた成鳥は、アラスカから一直線にどこにも立ち寄ることなく越冬地を目指します。オオソリハシシギの渡りはこれまでに知られている動物のノンストップの移動としては最も長いもので、およそ11,000kmを8日間で飛んだ記録があります。一方、春の渡りは北西に飛んで日本や中国などの東アジアを目指します。そこでしばらく栄養補給をした後、再び繁殖地のアラスカを目指して一気に渡ります。

他にも、ヨーロッパからアフリカに渡るカッコウや、北米から中米に渡るミドリツバメで、ループ型移動の例をご紹介いただきました。また、渡り鳥の高い定位能力や、本能的に備わっている渡りの衝動によってこうした渡りが行われていることもお話しいただきました。質疑応答では渡り鳥に関する沢山の質問が飛び交いました。

今回は、52名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた仲村さん、ありがとうございました。
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6月15日に、2019年6月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然史研究室専門員の平岡考さんに、「万国共通な学名が図鑑によって違うわけ〜キジやコウノトリはどうなってる?」と題してお話しいただきました。

学名は、多くの図鑑に必ずといっていいほど掲載されています。和名の横にアルファベットの筆記体で書かれているのを覚えている方も多いと思います。スズメならPasser montanusが学名です。スズメの英名はTree Sparrowといいますが、この他にもそれぞれの言語で呼ばれている名前があり、それらは全て俗名で、学名ではありません。

現在世界中で使われている学名は、国際的な規約によって使い方が定められており、属名と種小名の2つの名前で表記されることから、2名法と呼ばれています。この方法はスウェーデンのリンネによって導入され、世界中の生きものの命名に用いられています。
しかし、学名はラテン語で書かれているため、多くの人にとってはその意味を理解できないものです。では、なぜ学名は図鑑に書かれているのでしょうか?

たとえば、以下の3つの鳥
スズメ Passer montanus
イエスズメ Passer domesticus
ウミスズメ Synthliboramphus antiquus
は、いずれも和名に「スズメ」と付きますが、ウミスズメはスズメの仲間ではありません。学名を見ると、ウミスズメだけ属名が違うことが分かるので、これだけが遠縁の鳥だということが分かります。学名を見ると、どの鳥とどの鳥が近いグループなのかを読み取ることができるのです。
また、読むことのできない言語で書かれた書物でも、学名さえ書かれていれば、何の種についての記述なのかを知ることができます。

図鑑に書かれている学名が、文献によって違っていることがしばしばありますが、これはなぜなのでしょうか。たとえば、コウノトリの学名は山階(1986)ではCiconia ciconiaと表記されていますが、日本鳥学会(2012)ではCiconia boycianaとなっています。これは、日本に渡来する東側の集団boycianaを亜種とするか、それとも独立した種として扱うかによります。かつては中央アジアからヨーロッパに分布するシュバシコウCiconia ciconiaと同種の亜種として扱うことが多かったのですが、最近では別種として扱っているため、このような変化が起こっています。

一方、キジでは、山階(1986)ではPhasianus versicolorとなっていますが、日本鳥学会(2012)ではPhasianus colchicusとされています。コウノトリの場合とは逆に、かつては別種として扱われていたものが、同じ種内の亜種として扱われるようになったためにこのように学名が変化しています。最近では日本産のいくつかのキジの亜種を大陸のものとは別種として扱うことが多くなりましたので、再び元に戻る可能性が高そうです。

世界共通の名前である学名も、分類の説が変化することによって変わることが分かりました。一見ややこしく思えますが、分類の説が1つに決まれば学名も決まるので、学名を見ればどのような分類を採用しているかがわかる便利なものということもできると感じました。

今回は、18名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた平岡さん、ありがとうございました。
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投稿者: odaya
5月18日、鳥の博物館の職員通用口から3mほど離れた駐車スペースの脇に、見慣れない段ボール箱が置かれていました。中を見ると、弱り切ったフクロウの成鳥が入っていました。誰かが保護した、または違法に飼育していたフクロウを遺棄していったものと思われます。現在までのところ、拾得者から当館宛への連絡はありません。

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▲衰弱したフクロウ(強制給水の際に撮影)

千葉県における傷病鳥獣の保護は、保護した人が責任を持って行うことになっています。
https://www.pref.chiba.lg.jp/shizen/choujuu/syoubyou/hogo.html

当館は動物病院でも救護施設でもありませんので、治療や飼育をするための設備もスタッフもおりません。今回のように傷病鳥獣を無責任に押しつけられるような事態はこちらとしては大変困ります。連絡をいただけず、拾得状況や拾得場所が不明な場合、治療に必要な情報が得られず、もし回復したとしても野外に放鳥することができません。

今回は、休日・祝日は千葉県の担当窓口が開いていないため、一時的に預かって給水等の処置を行ったあと、21日に千葉県の担当者を経由して動物病院に引き渡されました。18日にすぐに連絡をいただけなかったため、フクロウは大変衰弱しており、回復の見込みがあるかどうかは分かりません。今回のような方法での野生動物の保護は、保護される鳥にとっても百害あって一利なしと言えるでしょう。

これから多くの鳥が巣立つ時期になり、ヒナの誤認保護が増える季節です(ヒナの保護についてはこちら)。今後、このように無責任に当館に動物を遺棄された場合、警察に通報することも検討します。傷病鳥獣の保護を行われる方は、上記の千葉県のウェブサイトに書かれている手順を順守し、きちんと行っていただきますよう、お願いをいたします。


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投稿者: odaya
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5月18日に、5月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所客員研究員の茂田良光さんに、「日本に渡ってくるハマシギの亜種はどれ?」と題してお話しいただきました。

茂田さんは、これまでに繁殖地のアラスカ、マガダン、サハリンなどのハマシギの繁殖地で調査をされてこられました。今回はその繁殖地での調査のご経験をもとに、国内に渡来するハマシギの亜種についてお話しをいただきました。

ハマシギCalidris alpinaは、小型のシギの仲間で、ユーラシア大陸と北アメリカ大陸の両方に広い繁殖分布をもっています。地域ごとに羽の色や体の大きさなどが異なる場合、種はいくつかの亜種に分けられることがありますが、ハマシギの場合、10亜種ほどに分けられています。これは世界のシギ科の鳥の中でも一番亜種の多い種のひとつです。日本国内ではハマシギは旅鳥または冬鳥ですが、いったいどの亜種が渡来するのでしょうか?

先月の千田さんのお話しでも紹介いただいたように、シギ・チドリのような渡り鳥の渡る道は、フライウェイと呼ばれ、カラーフラッグや衛星発信器など、様々な追跡手法によって調査が行われています。日本に渡来するハマシギについても、カラーリングやフラッグの調査によって調査が行われてきました。

日本鳥類目録第7版では、亜種ハマシギC. a. sakhalinaと亜種キタアラスカハマシギC. a. arcticolaの2亜種が記録されていることになっています。しかし、これには注意が必要です。実は、標識によって繁殖地からの渡来が確認されているのは、これまでのところアラスカの北西部で繁殖する亜種キタアラスカハマシギのみなのです。

亜種ハマシギと亜種キタアラスカハマシギはよく似ており、特に冬羽や幼羽では見分けることは困難です。そのため、亜種ハマシギは分布域からは渡来していると推測されるものの、確実な記録はありません。そのため、どのくらい日本に来ているのかについてはまだ謎のままです。亜種ハマシギの西側に繁殖分布する亜種C. a. centralisの渡来の可能性についても良くわかっていません。

これらの他にも、北アジアの比較的低緯度で繁殖する亜種が2つあります。亜種カムチャッカハマシギC. a. kistchinskiと亜種カラフトハマシギC. a. actitesです。これらは日本鳥類目録改訂第7版では検討中の種・亜種に含められていますが、日本は分布域に近いことから渡来している可能性が高いと考えられています。両亜種ともに国内でそれらしい観察例や捕獲例があるそうで、学術報告が待たれます。

まとめると、今のところ国内で確実な記録があるのは亜種キタアラスカハマシギのみ、そのほかにも3〜4亜種の渡来可能性がありそうだということでした。今後さらなる調査が進むことで、国内に渡来するハマシギの亜種がはっきりと分かることが期待されます。

今回は、26名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた茂田さん、ありがとうございました。

(5/23内容の修正を行いました。)
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