過去ログ

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カテゴリ: General
投稿者: mochizuki
6月17日(土)に松戸市で行われたイベント「道合第二公園お楽しみ会」にてブース出展をしました!
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イベントでは3Dプリントで作った標本の模型を展示したほか、標本3Dデータを使ったほねほねサイコロを配布しました。

野外に本物の標本を持ち出すのは破損のリスクがあって難しいのですが、3Dプリントの模型は自由に見て触ってもらえるので、野外のイベントで大活躍でした。

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スズメとフクロウの頭の違いを説明しているところ。


今回展示した3Dプリント模型は、以下の7種類です。(同じ種類で大きさの違う物もあります)
カルガモ嘴、スズメ頭骨、フクロウ頭骨
ハヤブサ足、オオバン足、アカエリカイツブリ足、ゴイサギ足
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鳥の博物館ではこの数年、標本の3Dデータ化と、3Dプリントの標本模型の作成に取り組んでいます。
これまでに鳥の頭骨3種類、鳥の足7種類の3Dデータを作成、公開しました。
このデータはSketchfabのサイト(リンク)から見ることができるので、皆さまぜひご覧ください。
カテゴリ: General
投稿者: odaya
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△埼玉鴨場で放鳥されたオナガガモ。

6月17日に、2023年6月の「鳥のサイエンストーク」を実施しました。これまでと同様にYoutube liveを用いたライブ配信で行いました。今回は、山階鳥類研究所の仲村 昇さんに、「宮内庁埼玉鴨場での50年間のカモ類捕獲数の推移」と題してお話しいただきました。

宮内庁では、埼玉県と千葉県に1か所ずつある鴨場で、伝統的なカモの引堀猟を保存・継承しています。この猟は、かつては狩猟の目的で行われていましたが、内外の賓客接遇の場としての役割に加え、1971年からは捕獲したカモ類に足環を付けて放鳥する鳥類標識調査が行われています。今回は、2020年までの放鳥記録からわかったことについてお話しいただきました。

鳥類標識調査は、固有の番号の刻まれた金属の足環を鳥の脚に装着し、鳥1羽1羽を区別して鳥の渡りや寿命を調べるものです。今回仲村さんが分析を行った埼玉鴨場では、50年間でマガモおよそ6800件、オナガガモ62000件の捕獲データが得られました。これらは、新しく足環を付けたもの(新規個体)と、前年以前に同所で標識したものが再度捕獲されたものの両方が含まれます。

越冬期ごとの捕獲個体数と新規個体の割合を調べたところ、マガモは1996年ごろから、オナガガモは2005年頃から捕獲個体数が減少していました。さらに、両種ともに、近年になって再捕獲個体の割合が増えていることが分かりました。ここで分析した再捕獲個体は確実に成鳥なので、このことからは、鴨場に渡来するカモのうち、幼鳥の割合が減少していることが示唆されます。また、マガモでは、捕獲される個体のうち、雄の割合が低くなっていることがわかりました。マガモでは高緯度ほど雄が多い傾向があることから、このことは越冬分布の変化とも関連している可能性が示唆されました。

個体数と幼鳥率の減少の要因として、(1)カモ類の繁殖率が低下している、(2)越冬分布が変化している、(3)周辺の環境が変化している、という3つの可能性が考えられ、今回明らかになった捕獲個体数や新規個体の割合の変化は、これらの要因のうち複数が関係している可能性が高いとのことです。

講演のあとに、鴨場での捕獲調査が現在どのように行われているかについて、視聴者の方からご質問をいただき、仲村さんにお答えいただきました。

今回のオンライン講演は、最大同時に46人の方に視聴いただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。今回は、7月1日(土)まで見逃し配信を行います。配信したURLと同一の以下のリンクよりご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=T2ghxWfdAPo

次回、7月の鳥のサイエンストークは、山階鳥類研究所の油田さんに、ゴジュウカラの特徴や繁殖生態についてお話しいただきます。配信方法などについては、山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館ウェブサイトで改めてご案内します。次回もぜひご視聴ください。

参考資料:

標識調査の年度別報告書(今回のお話は、令和4年度報告書に掲載されているものです)
https://www.biodic.go.jp/banding/report.html

環境省のガンカモ類の生息調査
https://www.biodic.go.jp/gankamo/gankamo_top.html

宮内庁ウェブサイト「鴨の捕獲・鴨場の接遇」
https://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/shinzen/gaikodan/gaikodan01.html
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