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△鳥島で繁殖するカンムリウミスズメ

1月21日に、2023年1月の「鳥のサイエンストーク」を実施しました。これまでと同様にYoutube liveを用いたライブ配信で行いました。今回は、山階鳥類研究所研究員の富田直樹さんに「アホウドリをはじめとした鳥島で繁殖する海鳥の近況」と題してお話しいただきました。

鳥島は、伊豆諸島南部に位置し、最も近くの有人島である八丈島からはおよそ300卞遒法東京からは600卞遒飽銘屬靴討い訐箜い量疑妖腓任后アホウドリの最大の繁殖地として広く知られていますが、他にも絶滅危惧種を含む多くの海鳥の繁殖が知られています。今回のご講演では、アホウドリをはじめとする海鳥の生息状況や、近年の個体数の変化、保全についてお話しいただきました。

アホウドリは、かつて伊豆諸島から台湾周辺の島々に広く、多数が分布していました。しかし、明治時代から行われた羽毛採取が目的の乱獲によって個体数が激減し、1949年には絶滅宣言が出されました。その後、1951年に鳥島で再発見され、長谷川博氏をはじめさまざまな人たちによって保全活動が進められてきました。山階鳥類研究所は1991年から調査・保全活動に参画しています。

鳥島内のアホウドリの繁殖地は現在3か所確認されています。島南東部の燕崎はアホウドリが再発見された場所で、急な傾斜の斜面にアホウドリが残されていました。この繁殖地は卵やヒナが転がり落ちたりして繁殖成功率が低く、噴火による影響も懸念されていました。そのため、島内の他の場所に音声やデコイを用いて周辺のアホウドリを誘引し、島の西部の初根崎に新しいコロニーを移動させる試みが1992年から行われました。その結果、2005年からは複数のヒナが巣立つようになり、2022年の秋にはおよそ670巣が確認されています。この数は旧コロニーである燕崎の数を上回るようになったとのことです。さらに、島南東部の子持山に自然に小規模なコロニーが形成されているとのことです。近年では島全体の産卵数も1000を超えるようになり、鳥島のアホウドリの回復は順調に進んでいるとのことでした。

アホウドリに近縁なクロアシアホウドリも、鳥島で繁殖しています。2017年の時点で6000羽が繁殖していると推定されており、ヒナの数も2000羽以上が巣立っていると考えられています。繁殖コロニーはアホウドリのコロニーと同じ場所に加え、鳥島内の4か所に分散して繁殖しているとのことです。小型の海鳥であるオーストンウミツバメやカンムリウミスズメも、鳥島で繁殖が確認されています。しかし、これらの種は外来種であるクマネズミの影響を強く受けており、鳥島の繁殖個体群の絶滅が危惧されています。2017年に一部で殺鼠剤の散布が行われたものの根絶には至っておらず、今後の影響が心配されるとのことです。2009年には、オナガミズナギドリの繁殖が確認されました。オナガミズナギドリは日本では小笠原諸島などで見られますが、鳥島の繁殖地は北大西洋の集団の北限になります。2018年には126巣が確認されているとのことです。

今後の保全上の課題として、アホウドリには形態の異なる2種が含まれることから、それぞれ別の単位として保全を進める必要があること、アホウドリ以外の海鳥についても重要な生息地であると考えられることから、今後もモニタリング調査を継続していく必要があることをお話しされていました。

講演のあとに、クマネズミの駆除活動や、オオミズナギドリとオナガミズナギドリの繁殖分布、島での調査生活などについて、視聴者の皆さんからのご質問をいただき、富田さんにお答えいただきました。

今回のオンライン講演は、最大同時に79人の方に視聴いただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。今回は、2月4日(土)まで見逃し配信を行います。配信したURLと同一の以下のリンクよりご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=mQY0rlKMLK4

次回、2月の鳥のサイエンストークは、山階鳥類研究所の尾崎清明さんに、ヤンバルクイナの保全についてお話しいただきます。配信方法などについては、山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館ウェブサイトで改めてご案内します。次回もぜひご視聴ください。

参考資料:

佐藤文男 (2022) 日本の海鳥の現状と保全の課題―環境省モニタリングサイト1000海鳥調査から―.山階鳥類学雑誌 54(1): 3-53.(オープンアクセス)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jyio/54/1/54_3/_article/-char/ja/

上記論文の電子付録:日本のモニタリングサイト1000 対象海鳥の繁殖状況.(PDFへの直リンクです)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jyio/54/1/54_3/_supplement/_download/54_3_1.pdf

山階鳥類研究所の「アホウドリ 復活への展望」のページ
https://www.yamashina.or.jp/hp/yomimono/albatross/ahou_mokuji.html