過去ログ

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カテゴリ: General
投稿者: odaya
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2月11日に、手賀の丘少年自然の家との共催の観察会「オーイ!冬鳥くん」を実施しました。49名の方にご参加いただきました。

まず、手賀の丘の林の中で鳴き声を頼りに小鳥の姿を探しました。声のする方を肉眼でみて、動く影を見つけて双眼鏡を向けていきます。ドングリを食べるヤマガラや、舌草の中を移動するアオジの群れ、そして、人懐っこいルリビタキの雄を観察することができました。

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頭部から背面が青く美しいルリビタキの雄。このようになるまで2〜3年かかると言われています。(画像は下見時のもの)

林を出て田んぼの中を歩くと、モズやツグミ、カワラヒワが電線に止まったり、地上で餌を食べているのが見られました。田んぼのような広い環境では、肉眼で見つけるのが難しいので、双眼鏡でいそうな場所をチェックしていきます。遠くでキジの「ケーンケン」という囀りも聞かれました。

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草に止まって休むツグミ。木の実が無くなってくる2〜3月ごろには地上に降りて餌を取ることが多くなり、姿が見やすくなります。(画像は下見時のもの)

手賀沼沿いに出て沼の水鳥を観察しました。風が弱く穏やかだったのですが、カモ類はあまり多くありませんでした。岸沿いにいたカンムリカイツブリやコガモ、アオサギなどを望遠鏡で観察しました。沼沿いのヨシ原に潜む小鳥は動きが活発で、オオジュリン、アオジ、ホオアカ、セッカなどを観察できました。穏やかな日には、ヨシの中を動く音や、ヨシを割って餌を取っている音にも注意してみましょう。

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冬羽のカンムリカイツブリ。当日は、夏羽に変わりつつある個体が1羽見られました。(画像は下見時のもの)

沼沿いを歩いていると、突然、足下から大きな鳥が飛びだしました。タカの仲間のノスリの幼鳥です。沼の岸で死んでいたオオバンを食べていたようでした。木の枝にとまったところをじっくりと観察することができました。

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飛び出して枝にとまったノスリ(一番高い木の枝)。食事を邪魔してごめんなさい。

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ノスリが食べていたオオバンの死体。死んだ生き物は、他の生き物が命を維持するための糧になります。

田んぼの中を歩いて手賀の丘へ戻り、12時ごろに鳥合わせをして解散しました。2グループ合わせて、42種の鳥を観察することができました。冬は手賀沼周辺では種数と個体数が最も多く、バードウオッチングの楽しい季節です。環境ごとの探し方のコツを活かして、お近くの自然観察を楽しんでみてください。

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投稿者: odaya
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2月10日に、2月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の齋藤武馬さんに、「南西諸島の鳥類の不思議をDNAから探る」と題してお話しいただきました。

南西諸島は鹿児島県から沖縄県にかけて約1200kmもの長さに渡って連なる島々です。生物の分布を研究する生物地理学では、南西諸島は旧北区と東洋区の境界に位置します。琉球列島は1500万年前には大陸の一部でしたが、その後、海面の高さの変化が起こると、大陸とから切り離されたり、くっついたりを繰り返してきました。南西諸島は、大隅諸島からトカラ列島までの北琉球、奄美諸島と沖縄諸島の中琉球、都諸島と八重山諸島の南琉球の3つに大きく分けられます。北琉球と中琉球の間にはトカラ海裂(渡瀬線)、中琉球と南琉球の間にはケラマ海裂(蜂須賀線)と呼ばれる深い海があります。海面が下がった時でも、これらの海裂によって島々のつながりが断たれて生物の分布の拡大の障壁となり、独自の生物相が形成されてきました。

南西諸島には、本土とは異なる種や亜種の鳥が分布しています。日本の固有種の11種の鳥のうち、7種が南西諸島に分布しており、固有の亜種も多く分布しています。齋藤さんが関わっている日本の鳥類のDNAバーコーディングは、国内に分布する鳥類のDNAの短い配列のデータベースを作り、羽一枚からでも簡単に種の同定が出来るようにするプロジェクトです。この研究にともなって、南西諸島の鳥類の系統関係などが明らかになってきました。

イイジマムシクイやアカコッコは、世界でも伊豆諸島と北琉球にだけ繁殖する、変わった分布を持つ鳥です。そのうち、遺伝子が調べられているイイジマムシクイは、伊豆諸島の集団とトカラ列島の集団で、4.8%もの遺伝的分化があることが分かりました。南西諸島にだけ分布するアカヒゲは、奄美以北に分布する亜種アカヒゲと、沖縄本島に分布する亜種ホントウアカヒゲの間に、深い遺伝的な分化があることが明らかになり、いくつかのチェックリストではすでに別種として扱われています。奄美諸島に分布するオオトラツグミは、現在はトラツグミの亜種とされていますが、囀りや形態が大きく異なることから別種とする意見もあります。DNAバーコーディングでも、大きな違いがあることが分かり、今後別種にされる可能性が高そうです。また、ヒヨドリについては、奄美・沖縄と大東諸島の集団が、それぞれ国内の他の集団に比べて大きく分化していることが明らかになっています。今後、分類学的な研究が行われていくことで、これらを種として扱うかどうかが決まっていくでしょう。

今回は、44名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた齋藤さん、ありがとうございました。
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