過去ログ

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投稿者: odaya
3月26日に、博物館の市民スタッフと友の会の方を対象に、標本の製作講座を実施しました。山階鳥類研究所 自然誌研究室の岩見さんを講師にお迎えし、14名の参加者のみなさんに小形の鳥の仮剥製標本の製作に挑戦してもらいました。

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製作の前に、岩見さんから、標本とは何か、また標本の活用方法についてお話しいただきました。博物館では標本の収集を継続的に進めていくことが重要ですが、現在は技術を学べる場所が少なくなっていることから、標本の作り手不足が問題になっています。

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一つ一つの手順を見せてもらってから実際に手元の鳥で作業する、という繰り返しで、少しずつ作業を進めていきました。山階鳥類研究所では、仮剥製を作る時も鳥の骨格を出来るだけ壊さないように作業されていて、将来的に最大限に活用できるように工夫されていました。

博物館に持ち込まれる鳥は、事故などに遭って死んでしまったものもいます。皮が破れていたりして苦戦した方もいましたが、何とか半分ほどの方が最後まで製作することができました。

また来年度もこのような機会を設け、標本に関わる人の環を広げていければと思っています。講師をつとめていただいた岩見さん、参加されたみなさま、ありがとうございました。
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投稿者: odaya
3月20日(月・祝)に、あびこ自然観察隊「春の谷津田観察会」を実施しました。里山の景観が残されている岡発戸・都部の谷津を歩きました。大人22名、子ども9名の参加がありました。

東我孫子から5分ほど歩くと、谷津の入口に着きました。向かいの斜面のササやぶからは、ウグイスの「ホー、ホケキョ」というさえずりが聞こえてきます。

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丈の低い草地の中を探すと、コロコロした茶色い草の固まりが見つかりました。これはノウサギのフン。夜の間にここにやってきているようです。

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ニワトコのブロッコリーのような蕾(つぼみ)をみんなで観察しました。

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暖かい日差しに誘われて、ナミテントウやムラサキシジミなど、成虫で冬を越している虫たちも多く見られました。

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ニホンアカガエルの卵とオタマジャクシを観察しました。現在では多くの水田で冬に水が落とされてしまうため、アカガエルやヒキガエルなどの冬から春に産卵するカエルの仲間は限られた場所でしか見られなくなってしまいました。

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橋の近くで見つけたイタチと思われる哺乳類のフン。白っぽい小鳥の羽毛やザリガニの殻などが入っていました。

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梅林で見つけたキジバトの巣。他の鳥に比べて粗雑な作りです。東我孫子駅の近くではさえずっている雄も見られました。

12時ごろまで谷津田を一回りし、多くの生き物を観察することが出来ました。参加されたみなさま、ありがとうございました。また鳥の博物館の自然観察会にぜひご参加ください。


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投稿者: saito
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 今日は、山階鳥類研究所自然誌研究室専門員・広報室主任の平岡考さんに、「毎日運行する漁船で営巣したツバメ」というテーマでお話いただきました。
 おりしも今日3月11日は、東日本大震災から6年目にあたります。地震とそれに伴う津波と原発事故により、東日本を中心に甚大な被害を被りました。この時、山階鳥類研究所が文部科学省と環境省に対して提言した、陸鳥・海鳥への影響調査や被災地の標本レスキューの必要性の紹介からお話は始まりました。
 さて、本題の「漁船で営巣したツバメ」の舞台は、静岡県の伊豆半島の東部の富戸岬にある漁港です。
 2014年から2016年までの3年連続で、毎日漁に出る漁船にツバメが営巣し、ヒナを巣立たせることに成功した事例を紹介してくださいました。船のオーナーの石井船長が映像とともに数日おきに記録をとってくれたお陰で、繁殖の詳しい様子が明らかになったそうです。
 紹介されたビデオには、ツバメの親鳥が船が出発して沖合500m以上離れるまでは、ヒナへの給餌に訪れ、逆に沖合から船が帰って来て、やはり沖合500mまで近づくと、再び給餌のために飛来するシーンが映し出されました。
 繁殖データから、このツバメは、陸地で繁殖するツバメより抱卵日数が長く、抱卵時間長く取れないなどのハンディーを負っているらしいとのことでした。何故あえて繁殖に一見不利な動く船に3年連続して営巣したのか謎は深まります。また、港の中を動き回る数ある船の中から、親鳥がどうやって営巣した船を認識しているのかも現時点では謎とのことでした。
 国内外での船に営巣した鳥の他の例も紹介され、日本ではツバメが船に営巣した11例が、海外ではミドリツバメ、ツバメ、タイランチョウ、コマツグミなどが船に営巣した例が示されました。
 人工構造物にだけ営巣するツバメですが、今後の人とツバメとの関係にひょっとしたら新たな展開があるかもしれないことを予感させるお話でした。
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