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 7月のテーマトークは、山階鳥類研究所保全研究室専門員の千田万里子さんに「鳥にまつわる法律の話」と題してお話しいただきました。千田さんは、保全研究室で日頃より調査の許可申請業務に携わっておられます。今回は、日頃バードウオッチャーや一般の方が遭遇する状況で、「この行為はやってもいいのかな」と迷うような具体的な事例に基づいて、その背景となる法律について解説していただきました。
 日本で鳥の保護や管理にかかわる法律は大きく分けて3つあります。
(1)鳥獣保護管理法
鳥獣保護法では、基本的に野鳥は勝手に捕獲してはいけないこと、巣や卵の捕獲行為には許可申請が必要なことが定められています。狩猟期間や狩猟鳥獣について定められているのもこの法律です。傷ついた野鳥を保護したりする場合は、まず都道府県等の担当部署に連絡をして許可を得ることが望まれます。
(2)種の保存法
国際的に野生動物の取引を規制するワシントン条約の国内法です。この該当種(身近なところでは、オオタカ・ハヤブサなど)の羽毛を拾った場合、他の人に譲ったりすると違法となってしまいます。この該当する種の死体などを見つけた際には、死因の究明などのため、担当する環境省の地方環境事務所に連絡してほしいとのことでした。
(3)文化財保護法
この法律によって天然記念物または特別天然記念物に指定されている種を捕獲したり、対象種の巣を撤去したりする場合には、文化庁の許可が必要となります。

加えて、各地方自治体などが独自に条例で保護を定めている場合もあるそうです。また、対応の方法が微妙に異なることもあるので、詳しくは該当する市町村や都道府県の担当部署に問い合わせるのが最も確実とのことです。

鳥の羽や遺体を拾った際などには、どのように扱ったら良いか迷うことも多いと思いますが、該当する法律を理解して適切に対応したいですね。