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 今月(3月)は、山階鳥類研究所自然誌研究室専門員の平岡考さんが、「採集人折居彪二郎と山階鳥類研究所」のお話をしてくださいました。
 折居彪二郎は、日本の鳥類学の黎明期に、黒田長禮や山階芳麿など鳥類学の研究者に頼りにされた腕利きの採集人です。満州、樺太、千島、台湾、南洋諸島など各地を巡り、貴重な鳥類の標本を現在に残しています。採集状況の詳細な記録も残しており、現在も変わらぬ価値ある標本として保存・管理されています。採集人として活躍する初期の頃、大英博物館嘱託採集人のマルコム・アンダーソンと活動を共にしたことから、学術的に役立つ標本の収集や記録の仕方が身についたそうです。
 折居の名は、現在でも日本の鳥の亜種名などに残っています。折居の詳細な記録とともに保管された標本は、当時の鳥相を知る手がかりとなるばかりではなく、DNAの分析やCTスキャンなど近代科学の手法により、学術的な価値が再発見されています。山階鳥類研究所には、折居の採集した貴重な標本が数多く保管され、そのデーターベースが公開されていることから、広い方面からの研究に役立てられているそうです。