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 日本鳥類目録は、文字通り日本で確認された鳥のリストで、日本鳥学会が編集したものです。この目録が昨年改訂されたことは、鳥の研究者はもちろん趣味でバードウオッチングを楽しむ人たちにも、少なからぬ影響を与えました。鳥の図鑑の並び順や、見た鳥を整理する時の並べる順番が変わってしまったのですから。博物館や動物園でも、展示の順番を変更する必要があります。
 これだけ大きな影響を与えることが十分考えられるのに、なぜ、新たな目録を編集したのか、その理由が、まさに今日のお話のテーマであり、この編集に携わった山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の山崎さんが、分かりやすく解説してくださいました。
 目録の基礎となる種の記載と系統進化の仮説によって成り立つ生物分類は、ユーザーにとっての安定性が重要であると同時に、常に新たな科学的な知見を取り入れてアップデートしていかなければいけないそうです。ここ十数年の間に飛躍的に発達したDNAの塩基配列比較の解析方法は、これまでの形態比較の手法に比べて桁外れの多数の情報を比較できるため、信頼性も高いとのこと。そしてこれまでの系統進化の推定を覆す新事実が多々発見されたそうです。この成果を反映した日本鳥類目録第7版は、第6版までの体系とずいぶん異なったものになったとのことでした。
 目録のユーザーにとっての安心材料は、今回編集された日本鳥類目録第7版の基本的な分類体系に、今後大きな変化はないだろうという点です。
 アップデートされていく目録を見ながら、鳥類の進化の歴史に思いを馳せるという、一歩進んだバードウオッチングの楽しみ方へのヒントが随所に出て来る楽しいお話でした。