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投稿者: odaya
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2020年2月23日(日)に、鳥博セミナー「ハクセキレイの標識調査」を開催しました。「ハクセキ道場」を主宰されている亀谷辰朗さんと森本元さんのお二人にお話しいただきました。今回のセミナーは、開催中の企画展「バンディング展〜足環でわかる鳥の渡り〜」の連携企画として開催したものです。

まず、森本さんにセミナーの趣旨についてお話しいただいたあと、亀谷さんにハクセキレイと亀谷さんたちが実施する「ハクセキ道場」について詳しくご紹介いただきました。

ハクセキレイは、私たちにも身近な白黒の小鳥で、スズメ目セキレイ科に分類されます。セキレイの仲間は歩くときに尾を上下に振ることが特徴で、セキレイ属の属名Motacillaは小さな(尾を)動かすもの、という意味のラテン語だそうです。

ハクセキレイはユーラシア大陸に広く分布し、地域によって羽色などが異なるため、11の亜種に分けられています。このうち、日本では亜種ハクセキレイが普通に分布するほか、旅鳥として亜種ホオジロハクセキレイ、亜種タイワンハクセキレイなどが渡来します。ほか、まれな旅鳥や迷鳥として他の数亜種も記録されています。

鳥に足環を付けて渡りなどを調べるバンディング(標識調査)は、各地で行われていますが、ハクセキレイの場合は他の調査と異なる点がいくつかあります。まず、普通は日中にかすみ網などの道具を設置して鳥がかかるのを待つのに対し、ハクセキレイの調査では人が網を動かし、夜明け前にねぐらで一気に捕獲します。

この調査は現在では11月から4月の越冬期に行われ、月に1回、東京都内の川に架かる橋の上で実施されています。調査の開始は1973年にさかのぼりますが、亀谷さんたちのグループがこれを引き継ぐ形で開始されたのは1997年で、それから20年以上、場所を変えつつも継続されています。2019年12月までに185回の調査を行われ、4856羽のハクセキレイに足環を付けて放鳥されています。

亜種ハクセキレイは世界のハクセキレイの亜種の中で最も翼の白色部が広く、性と年齢による違いがはっきりしています。しかし、その一方で中間的な個体も多く、その識別は一筋縄ではいかない部分があるようです。今回は、鳥の博物館に所蔵している片方の翼を開いた状態の本剥製を使って、その概要についてお話しいただきました。

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▲標本を使って性と年齢の識別について解説する亀谷さん。

また、時々捕獲される過眼線のない個体については、翼の白色部の広さや大きい計測値から、亜種ホオジロハクセキレイではなく亜種ハクセキレイの羽色の変異だと思われることについてもご紹介いただきました。

続いて、森本さんに、標識調査でわかったハクセキレイの生態と足指の欠損についてお話しいただきました。ハクセキレイはかつては本州中部以南では冬鳥でしたが、1950年代ごろからより南の地域でも繁殖するようになり、1970-80年代からは関東地方で繁殖するようになりました。この拡大傾向は現在でも続いているようです。ハクセキ道場での捕獲調査のデータを見ると、越冬期に捕獲数が多く、越冬個体がより北の地域からやってきていることがわかります。

ハクセキレイは都市の環境に適応し、コンクリートの駐車場などで餌をとっているのもよく見かけますが、ねぐらも人工物を利用するようになっています。ハクセキ道場の調査が行われている橋の下や、電線、看板の裏など、さまざまな場所を使っています。

ハクセキレイを越冬期に観察すると、2羽で行動しているのをよく見かけます。これらは繁殖するつがいなのかと思いきや、実はそうではなく、冬だけオーナーのいる縄張りに居候している1羽がくっついて(サテライトと呼ぶそうです)行動しているのだそうです。ヨーロッパで行われた実験では、餌の量が十分に得られる場合はオーナーはこのサテライトを受け入れるが、餌がない場合は追い出してしまうそうです。このように、つがいや血縁関係のない2羽の鳥が行動を共にするのはあまりないケースのようです。

森本さんたちがハクセキレイの標識調査を行っていると、足の指が欠損している個体が多く含まれることに気が付きました。他の鳥に比べてかなり多く、ときには全体の5%ほどにもなることもあるそうです。正常な個体と体重を比較してみたところ、欠損のある個体はより体重が軽いようで、うまく餌を捕れていない可能性があるとのことです。これらの原因は、ビニールひもなどの細い人工物が足に絡んで起こるケースが多いとのことで、都市の鳥に人間のゴミの影響があることが標識(捕獲)調査によっても明らかになっています。

全体を通して、継続して行われているハクセキレイの標識調査によって、多くの新知見が明らかになってきていることをお話しいただきました。質疑応答の時間では、ねぐらの利用の季節変化、ハクセキレイの食べ物や、セグロセキレイとのすみわけなどについて活発な議論が交わされました。今回は43名の方にご参加いただきました。
ご参加いただいたみなさま、講演いただいた亀谷さん、森本さん、どうもありがとうございました。

企画展「バンディング展〜足環でわかる鳥の渡り〜」は、2020年6月14日(日)まで開催予定です。展示の中でハクセキレイの渡りや性と年齢の識別についてもご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひご来館ください。

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投稿者: odaya
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▲構造色の羽毛をもつカワセミ

2月15日に、2020年2月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室・保全研究室研究員の森本元さんに、「鳥の色彩と構造色」と題してお話しいただきました。

鳥は、視覚とともに色覚の発達した生物であると考えられており、私たちに見えない紫外線も見えるため、4原色で世界を見ています。鳥の持つ色はさまざまで、カワセミのようにキラキラした青色の鳥もいれば、オオバンのように全身黒色の羽色を持つ鳥もいます。

鳥の多様な羽色を形作っている要素は2つに分けられます。光が当たった時に吸収されなかった色の光が反射して見える色素色(しきそしょく)と、細かい構造によって強調された色の光が見える構造色(こうぞうしょく)です。たとえば、牛乳の白は、脂肪分のコロイド粒子によって光の散乱が起こっていることで見える構造色です。構造色はさまざまな生き物で見られますが、たとえば昆虫ではカラスアゲハやタマムシなどのキラキラ光る翅の色は構造色です。

鳥の色素は、ほとんどがメラニン(黒・茶色系)とカロテノイド(黄・赤系)で構成されています。一方で、青や紫などのそれ以外の色は、ほとんどが構造色によって見えています。

鳥の羽毛の青色の構造色には、カワセミのようにキラキラ光る虹色の構造色と、コルリやイソヒヨドリのように非虹色のものがあります。これらにはなぜこのような違いがあるのかを、詳しく説明していただきました。

青色の構造色だけでも、羽毛の羽枝や小羽枝にある構造の種類によってさまざまなパターンがあるそうです。たとえば、カラス類やドバトの首の金属光沢は、ケラチンが形作る膜構造による干渉が原因ですが、カワセミの青色の羽毛は、スポンジ構造によって青色が強調されていることが原因であることが、電子顕微鏡での構造研究や光の研究から明らかになっているそうです。

また、色素であるメラニンの配置によって構造色が見える場合もあり、クジャクの青色の羽毛はそのような構造で作られているそうです。森本さんたちのグループは、そのような点に着目し、人工的にメラニンの配列を調整することで、様々な色の構造色を実際に作り出すことに成功されました。自然の性質を知ることで、新しい技術が生み出される可能性についても知ることができました。

今回は、40名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた森本さん、ありがとうございました。
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投稿者: odaya
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1月18日に、2020年1月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の齋藤武馬さんに、「絶滅寸前?オガサワラカワラヒワの特徴とその保全」と題してお話しいただきました。

オガサワラカワラヒワは日本本土にも分布するカワラヒワの亜種の一つで、世界で小笠原諸島だけに分布しています。本土のカワラヒワに比べて、羽の色の黄色みが少し弱く、体が小さいことが特徴といわれています。
これまでに齋藤さんたちが行ったDNAバーコーディング(ミトコンドリアDNAの一部の短い配列を読むことで、生物の同定を行うための手法)の配列を用いた研究では、本土に分布する亜種カワラヒワとは、3%を超える大きな遺伝的な違いがあることがわかりました。これは、一般的には亜種の間の遺伝的違いよりも大きく、種のレベルの違いに相当するものでした。

そこで、齋藤さんたちは、オガサワラカワラヒワがどのくらいほかのカワラヒワの亜種と違うのかを調べるために、別の遺伝子をより詳しく調べたり、地域ごとに体の大きさの違いを調べる研究を行いました。
まず、バーコーディング領域とは異なる2つのミトコンドリアDNAの遺伝子の配列を調べると、オガサワラカワラヒワは他のカワラヒワの亜種と2.1-2.4%の配列の違いがあることがわかりました。また、他の亜種とは110万年(更新世の中期ごろ)も昔に分かれていたと推定されました。また、遺伝的な多様性はとても低いこともわかりました。

次に、博物館に保存されている標本を使って、体の大きさの違いを調査した結果についてお話しいただきました。カワラヒワの亜種は北方で繁殖するものほど体が大きくなる傾向があり、オガサワラカワラヒワはすべての亜種の中で最も短い翼をもっていました。しかし、くちばしの長さを測ってみると、どの亜種よりも大きいことがわかりました。すなわち、オガサワラカワラヒワはすべての亜種の中で最も体に対して大きな嘴を持っているということになります。これは、餌となる種子の少ない海洋島の環境で、ムニンアオガンピなどの木の種を食べることに適応した結果ではないかと考えられるとのことでした。

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▲オガサワラカワラヒワの雄成鳥。くちばしが比較的大きいことがわかる。

このように、遺伝的にも形態的にも他の亜種とは大きく異なるオガサワラカワラヒワは、別種とみなすのが妥当ではないかと考えられます。しかし、オガサワラカワラヒワの個体数は急激に減少しており、その絶滅が心配されているのです。かつて、オガサワラカワラヒワは小笠原群島と硫黄列島のほぼすべての島に生息していました。しかし、現在では母島列島の属島と南硫黄島に限られてしまっており、その個体数は合わせて400羽ほどと見積もられています。

その大きな原因となっていると考えられるのが、巣やヒナを襲う外来捕食者である大型のネズミ類です。小笠原諸島にはクマネズミとドブネズミの両方が人間によって持ち込まれていますが、実は、オガサワラカワラヒワが生き残っているのは、木登りの得意なクマネズミのいない島に限られています。現在生き残っている母島の属島でも、ドブネズミによって捕食されて数を減らしてしまっていると考えられています。
今後は、生息地である無人島でのドブネズミの駆除や、観察や標識調査によるモニタリングの継続、飼育下での人工繁殖に向けた遺伝的な多様性の把握などが課題とのことでした。

これほど危機的な状況ながら、まだまだ一般の人に存在が知られていないのがこのオガサワラカワラヒワです。地元の母島で活動されている川口大朗さんが作成されたオガサワラカワラヒワの保護を呼びかけるステッカーを会場で配布しました。ぜひ多くの人にオガサワラカワラヒワの状況を知っていただき、保全に向けた取り組みが少しでも進むことに期待したいと思います。

今回は、20名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた齋藤さん、ありがとうございました。
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投稿者: iwamoto
20200108-img_2601.jpg 2019年12月21日(土)に、テーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所保全研究室の富田直樹さんに、「実は日本のカモメ類が減っています」と題してお話し頂きました。
 山階鳥類研究所保全研究室では、環境省の事業である「モニタリングサイト1000」の海鳥調査を委託されています。モニタリングサイト1000は、日本全国にわたって、1000ヶ所程度のモニタリングサイト(調査地)を設定し、基礎的な環境情報の収集を長期にわたって行う環境省の事業で、2003年から始まりました。海鳥部門の調査では、日本全国の島嶼部に合計30ヶ所の調査地が設定されており、3〜5年に一度のペースで、調査が継続されています。
 海鳥は世界全体で約350種おり、鳥類全体の約4%を占めています。海洋生態系の高次捕食者であるため、海鳥の繁殖成績は海洋生態系の環境指標になります。しかし、世界の海鳥の個体数は1950年から2010年の間に約70%も減少したといわれているとのことでした。そして現在、世界の海鳥の3割くらいが国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているそうです。
 減少の理由としては、海特有の人為的な影響が挙げられていることが紹介されました。影響が大きいと考えられているのは、人間が持ち込んだネズミやネコ等の外来生物が、海鳥の繁殖地である島に侵入したことや、マグロはえ縄漁や刺し網などの漁業による混獲でした。
 海鳥の個体数については、世界全体での減少傾向が指摘されてきた一方で、日本で繁殖する多くの海鳥については、これまで、その個体数変化が詳しく調べられてきませんでした。その長期的な変化を示した初めての研究成果が、昨年の8月に富田研究員らのグループによって発表されました。
 日本では、40種の海鳥が繁殖しており、そのうち22種がレッドリストに記載されています。研究グループでは、日本で繁殖する海鳥 10 種について、環境省の日本海鳥コロニーデータベースを利用して、過去 36 年間(1980年〜2015年)の個体数変化を解析しました。このデータベースには、「モニタリングサイト1000」以外のデータも多く含まれています。
 その結果、増加していたのは4種(アホウドリ、ヒメウ、ケイマフリ、ウトウ)、大きな変化が無かったものは2種(コシジロウミツバメ、ウミウ)、減少していたものは4種(エトピリカ、ウミガラス、ウミネコ、オオセグロカモメ)でした。この結果からは、ウミガラスやエトピリカといった絶滅危惧種だけでなく,ウミネコやオオセグロカモメといった、分布域が広くて個体数が多いと思われていた種も、長期的に減少していることが明らかになりました。
 ウミネコは、全国10ヶ所の繁殖地のデータを用いて解析したところ、1980年から2015年の間に、72%減少していました 。また、オオセグロカモメは、全国9ヶ所のデータ用いて解析したところ、1980年から2015年の間に、65%減少していました。現在でも、これらのカモメ類は全国の海岸で普通に見ることができるので、あまり減ったという実感は無いかもしれません。しかし、繁殖地に足を運んでみると、その変化を実感することができるそうで、その例として、山形県飛島にあるウミネコのコロニーにおける変化を写真で紹介して下さいました。
 日本で繁殖するカモメ類が減少した主な要因として、以下のことが考えられています。
仝機紅某C呂療腓砲呂い覆った、天敵であるネコやキツネの侵入
餌となる魚の減少
在来の天敵であるオジロワシの個体数増加
 飛島のように繁殖地の中には人の住んでいる島もあり、人が持ち込むネコなどの動物の管理が課題であるとのことでした。餌となる魚の減少については、地球環境の変化とも関係があるのかもしれません。オジロワシについては、絶滅危惧種でもあることから、その個体数が回復してきていることは、喜ばしい反面、海鳥繁殖地で頻繁に観察されるようになってきているそうです。これは、悩ましいところでもあるとのことでした。しかし、オオセグロカモメやウミネコの繁殖数が減少した直接の原因は、まだよく分かっていないそうです。
 日本で繁殖するカモメ類のように分布域が広く、かつ個体数の多い種が急激に減少すると、生態系の機能や安定性に与える影響が大きいと考えられています。そして、今回の研究結果は,絶滅危惧種だけでなく,広域に分布する種の保全のあり方を議論する必要性があることも示しています。今後も注意深くモニタリング調査を行っていく必要があると考えられます。
 富田さんたちの研究についてより詳しく知りたい方は、以下のプレスリリースをご覧ください。

https://www.hokudai.ac.jp/news/190902_pr2.pdf

今回は26名の方にお集まり頂きました。ご参加いただいた皆様、そして、大変興味深いお話をして下さいました富田さん、有難うございました。
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投稿者: odaya
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12日14日(土)に、公開シンポジウム「バンディングでわかること−鳥類標識調査の成果と未来」を我孫子南近隣センターの9階ホールにて開催しました。このシンポジウムは、我孫子市で行われた日本鳥類標識協会の2019年度全国大会の一部として行われたものです。また、来年2月1日から鳥の博物館で開催される企画展「バンディング展 ―足環でわかる鳥の渡り―」の連携企画です。

野外で鳥類の研究を行う際には、標識によって個体識別を行うことが重要となります。標識によって、鳥の渡り、回帰性、寿命、繁殖率、個体群の動態など、多くの情報を得ることができます。日本における鳥類標識調査(以下、バンディング)は、1924年に開始されてから、これまでに累計500万羽以上が放鳥されており、さまざまな鳥類の生態が明らかになっています。一方で、標識鳥の回収にあたっては、一般の市民やバードウオッチャーの方々の協力が欠かせないものとなっていますので、バンディングの成果や今後の発展についての理解を深めていただきたいと考え、このシンポジウムを企画しました。

まず最初に、環境省生物多様性センターの𠮷川さんから、バンディングの概要や、成果の公表方法についてお話しいただきました。環境省の行っている生物調査の中で、バンディングが重要な位置を占めていることをお話しいただきました。続いて山階鳥類研究所副所長の尾崎清明さんに、これまで日本におけるバンディングの成果を総括していただきました。カシラダカの減少やアオジの移動など、再捕獲だけでなく、新放鳥のデータからもさまざまな興味深いデータを得ることをご紹介いただきました。

シンポジウムの後半では、バンディングが持つようになった新しい役割である、モニタリングと保全について、それぞれお話しいただきました。山階鳥類研究所保全研究室の仲村昇さんには、標識調査が鳥の個体数の変化を捕える手法としてどのように役立つのかを、ヨーロッパや北米の事例をもとに紹介していただきました。最後に、バードライフ・インターナショナル東京の澤祐介さんからは、絶滅危惧種であるコクガンの渡り研究を通じて、標識調査を保全につなげるかについて、ご自身の調査研究・教育普及活動のご経験をもとにお話しいただきました。

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△質疑応答・総合討論のようす

4つの発表のあとに、会場のみなさんから提出していただいた質問カードをもとに、演者の皆さんに回答いただきました。バンディングに対して持たれていた疑問を解決する良い機会になったと思います。
最後に、それぞれの演者の方から、今後の標識調査の課題や期待することについてお話しいただきました。生物多様性センターの曽宮さんからは、膨大な標識データの解析の強化や後継者の育成が課題であることを、尾崎さんからは、リアルな鳥から情報を得る調査を継続していく努力をすべきであるとのコメントをいただきました。また、仲村さんからは、バンディングの対象種をかすみ網以外の方法で捕獲する鳥に広げること、澤さんからは、環境保全のためにバンディングのデータをどのように活用できるか、各バンダーが考えて実践することが重要であることをお話しいただきました。

当日は、標識大会の参加者78名に加えて、一般の方42名にもご来場いただき、合わせて120名の方に参加いただきました。バンディングのこれまでの成果について知っていただき、これからの発展について期待を持っていただけたものと思います。ご登壇いただいたみなさま、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

December 7日Saturday: 友の会展スタート

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投稿者: someya
 本日、第85回企画展「第15回友の会展」がスタートしました。鳥の博物館友の会は博物館活動に協力しながら、鳥や自然を学び、親睦を深めることを目的として平成13年4月に設立されました。
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 博物館活動への協力のほか、友の会に設けられた5つのグループ(みて歩こう会・デジカメ同好会・鳥凧同好会・鳥絵同好会・万葉集同好会)ごとの自主活動も活発です。友の会展ではその活動成果を紹介しています。友の会展は来年1月13日(月・祝)まで。ぜひご来館下さい。
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▲準備の様子。友の会が中心となって作業をしました。(写真は万葉集同好会)

完成した展示の様子を一部ご紹介。
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▲鳥凧同好会
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▲鳥絵同好会
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▲デジカメ同好会
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▲みて歩こう会
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投稿者: iwamoto
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 2019年11月3日(日)に、JBFゲストトークを実施しました。今回は「台日野鳥交流活動 −海外野鳥観察旅行の新たな楽しみ方−」と題して、台湾鳥会会長の林憲文さんと我孫子野鳥を守る会前会長の間野吉幸さんにご講演を頂きました。
 今回のゲストトークは、第84回企画展「世界からみた日本の鳥」の関連企画として実施しました。企画展では、島国である日本の鳥の特徴について紹介しています。それに関連して、同様に島国である台湾の鳥についてのお話を伺いたいと考え、ご講演をお願いしました。また、バードフェスティバルを通じて親交を深めている我孫子野鳥を守る会との交流活動についてもお話し頂きました。
 まず、林さんから台湾の固有種として、29種の鳥(※)をご紹介下さいました。色とりどりの美しい鳥たちの写真に加え、鳴き声の録音も聞かせて下さいました。音源の中にはユニークな鳴き声があり、それを、電報を打つ音や自転車のブレーキ音声などに例えて、大変分かりやすく教えて下さいました。
 次に、林さんは台湾と日本との市民レベルでの交流についてもお話し下さいました。林さんが、バードフェスティバルへの参加のたびに日本でのバードウォッチングを行っていると、地元の我孫子野鳥を守る会のメンバーが観察地を案内してくれるようになりました。その後、我孫子野鳥を守る会も、林さんの案内で台湾へ探鳥旅行に行くようになり、本格的な交流がはじまりました。林さんが我孫子野鳥を守る会とともに日本で訪れた探鳥地は、手賀沼、日光、軽井沢、伊豆沼とのことでした。特に印象に残ったのは、伊豆沼のマガンの大群で、日本で是非見てみたい鳥は、オジロワシとメグロだそうです。一方、日本人に見せてあげたい台湾の鳥として、固有種の他に、ヒゴロモ、ヤイロチョウ、キバネダルマエナガ、シロクロヒタキを紹介され、これらの生息地を案内されたいとのことでした。
 続いて、間野さんのご講演では、鳥を通じた交流活動の面白さについて紹介されました。日本では普通種であっても、台湾では見られない鳥がいます。逆に、台湾では普通種であっても、日本では見られない鳥がいます。どちらの国へ行っても、お互いに、外国人は地元では珍しくない鳥を見て感動するのが、とても面白いのだそうです。ただ鳥を見るだけではなく、「見方・感じ方のちがい」を楽しめるということが、国際交流の醍醐味とのことでした。
 間野さんはこれまでに6回、台湾へ探鳥旅行に行かれています。そして、林さんに案内して頂いたおかげで、29の固有種のうち、すでに27種を観察することができたそうです。台湾はアジアにおける親日国としても有名です。間野さんが台湾へ行くと、日本人にとても親切な、バードウォッチャーに出会うことがあり、驚かされるといいます。たとえば、相手が日本人だと分かると、鳥の居場所を教えてくれたり、カメラマンが、わざわざ場所を開けてくれることもあったそうです。
 間野さんは、林さんのご案内で台湾での植樹活動にも参加したそうですが、そこで植えた友好の木の苗が、大きな木に育ってゆく姿を見届けるために、今後も台湾を訪れたいとのことでした。そして、今後も両国の野鳥交流が続き、日本からさらに多くの人が台湾を訪れることを願いながら、講演は終了となりました。
 今回は30名の方にお集まりいただきました。ご参加下さいました皆様、有難うございました。また、林さんと間野さん、それから、林さんの通訳を引き受けて下さいました、張紋明さんに感謝いたします。


※ 台湾の固有種: ミヤマテッケイ、サンケイ、ミカドキジ、ゴシキドリ、ヤマムスメ、タイワンシジュウカラ、クロガシラ、ニイタカキクイタダキ、タカサゴミソサザイ、タイワンオオセッカ、アリサンチメドリ、カンムリチメドリ、チャガシラ、タケドリ、ホイビイ、キンバネホイビイ、ミミジロチメドリ、ヤブドリ、シマドリ、マルハシ、ヒメマルハシ、ルリチョウ、アリサンヒタキ、タカサゴマシコ、テッケイ、タイワンヤマガラ、メジロチメドリ、コバネヒタキ、タイワンツグミ
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投稿者: someya
 先日、企画展「世界からみた日本の鳥」が4ヶ月の展示期間を無事に終了しました。ご来場いただきましたみなさま、ありがとうございました。
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 今回は企画展内で行っていたアンケート「あなたが選ぶ日本らしい鳥は?」の結果をご報告します。アンケート実施期間は2019年7月13日から11月24日まで。企画展内で紹介している鳥から6種を取り上げ、その中から日本らしい鳥はどれか、ご来場のみなさまに選んでいただきました。個人的な思い入れはもちろんのこと、自由に選んでいただきました。6種の鳥はヤマドリ、キジ、カルガモ、トキ、タンチョウ、ウグイスです。

 結果はっぴょーう!じゃ、じゃーん!
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 1票につき、赤シール1つです。赤シールに目がチカチカしながらも地道にシールをはりました。
集計結果は、
1位 キジ    453票
2位 ウグイス  342票
3位 タンチョウ 305票
4位 トキ    259票
5位 ヤマドリ  133票
6位 カルガモ  107票

 以上の結果となりました。1位に輝いたのはキジでした。国鳥のキジは身近な鳥でもありますし、やはり人気がありますね。
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投稿者: iwamoto
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 10月19日に、2019年10月のテーマトークを実施しました。今回は、我孫子市鳥の博物館学芸員の岩本二郎が、「我孫子駅前でのイソヒヨドリの繁殖調査」と題して話をさせて頂きました。
 イソヒヨドリは、かつて日本では海岸沿いで見られていましたが、最近は内陸部でも見られるようになってきており、JR我孫子駅前でも繁殖が確認されるようになりました。この鳥の内陸進出の理由を解明するため、2017年から我孫子市において、営巣場所と食性についての調査を実施しました。
 イソヒヨドリの営巣場所はいずれもJR我孫子駅前で、2017年に2巣、2018年に3巣、2019年に2巣を確認しました。営巣に利用されていたのは、換気扇の覆いの中、大型量販店の立体駐車場、金属屋根の中、排煙管の裏といった、コンクリートの建物にある人工物でした。いずれも垂直な壁の上にあり、また、周囲をコンクリートや金属のような固いものに囲まれた隙間で、イソヒヨドリが海岸で営巣する際に利用する岸壁の岩の隙間と共通点がありました。このような構造物が増えたことが、イソヒヨドリの内陸進出を促進した可能性があると考えられました。
 食性調査では、2年続けて営巣した同じ巣で、2017年と2018年にヒナに運んできた餌の種類を記録しました。そこからは都市部で繁殖するイソヒヨドリが雑食性で、いろいろな種類の動植物を幅広く食べていることが分かりました。どちらの年も、よく運ばれてきた餌は、昆虫の成虫(アリ、ハサミムシ、甲虫、ユスリカ、ガやチョウ)、昆虫の幼虫(ガやチョウ、甲虫等)、ムカデ、木の実などでした。この中で、ムカデについては、イソヒヨドリが人工的な環境である線路に降りて、ムカデを捕食する様子を観察することができました。そして、イソヒヨドリの都市部での採餌には、人工物も役立っていると考えられました。
 今回の調査では、建物の所有者の方に調査を許可して頂いたり、情報を提供して頂くなど、我孫子市民の皆様には大変お世話になりました。皆様のご協力のお陰で、調査の難しい市街地でのイソヒヨドリの生態について、貴重な知見を得ることができました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。
 また、今回は31名の方にお集まりいただきました。ご参加下さいました皆様、有難うございました。
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投稿者: odaya
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11日2日(土)に、第29回JBF鳥学講座をアビスタホールにて開催しました。今回は「島の鳥類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―」と題して、北海道大学大学院理学研究院教授の高木昌興さんと、山階鳥類研究所保全研究室長の水田拓さんにお話しいただきました。また、2つの講演の終了後に、山階鳥類研究所副所長の尾崎清明さんを交えて、質疑応答とディスカッションを行いました。

トップバッターの高木昌興さんからは、「『島の鳥類学』の面白さ―リュウキュウコノハズクを例に―」と題してお話しいただきました。まず、島に分布する生き物の特徴について理論的な背景をお話しいただきました。動物が島に辿り着くには、海を越えて移動する必要があります。鳥は翼を持って自らの力で移動していくことができますが、島は面積が狭く、環境の多様性に乏しいので、一般的に大陸よりは種数が少なくなります。島にいる生き物の種数には、大陸からの距離と島の面積によって関係する法則があります。また、陸からの距離が近いほど、また面積が大きいほどそこにいる種類の数は多くなります。

科学や人類史に関する著作も多くあるカリフォルニア大学のジャレド・ダイヤモンド教授は、もともとは島の鳥の研究者でした。そのダイヤモンド教授の初期の研究で、カリフォルニア沖のチャネル諸島の鳥類相の経年変化を比較したものがあります。1917年と1968年に鳥の種構成を調べた結果、およそ50年の間に種数は大きく変化していませんでしたが、種構成は大きく変化していました。このように、島では種の絶滅と新たな侵入が繰り返されることで、平衡状態を保つのではないかと考えられています。
また、歴史的に他の地域と分断されている時間が長いと、そこでは新しい種に分かれる進化が起こります。ハワイ諸島やガラパゴス諸島では、大陸からの距離は離れていますが、島の中で起こった適応放散によって、多くの固有の種が分布しています。

日本の島々に目を向けて、伊豆諸島と小笠原諸島を例に考えてみます。本州からの距離が比較的近い伊豆諸島と、1000kmほど離れた小笠原群島では、繁殖する陸鳥の種はそれぞれ31種と13種で、伊豆諸島の方が多いのに対し、固有種・亜種の種数はそれぞれ8種と10種で、小笠原群島の方が多くなっています(絶滅種を含む)。日本の島々にも、これらのルールは当てはまるようです。

続いて、ご自身の研究テーマであるリュウキュウコノハズクの研究についてお話しいただきました。リュウキュウコノハズクは南西諸島全体に分布しますが、沖縄島から宮古島までの慶良間海裂よりも南側では、体が大きく、より低くゆっくり鳴くのに対して、北側の集団では体が小さく、より高く速く鳴くことが高木さんの研究で分かりました。実際に録音した鳴き声を会場で流していただき、島によって鳴き声が大きく異なることが良くわかりました。島ごとに異なる鳥の形態や生態を比較することで、進化の歴史を垣間見ることができるのです。

次に、水田さんからは、「『南西諸島の鳥類学』の面白さ―オオトラツグミを例に―」と題してお話しいただきました。
南西諸島は九州の南から台湾の東までに連なる198の島々からなります。日本の本土の島々と比較すると種数は少ないものの固有種や固有亜種の数は多く、生物多様性の保全上重要な地域とみなされています。
中でも、奄美諸島は鳥類では2種の固有種(ルリカケスとアマミヤマシギ)、4種の固有亜種(オーストンオオアカゲラ、アマミコゲラ、オオトラツグミ、アマミシジュウカラ)が分布しています。鳥類のほかにもアマミノクロウサギやアマミイシカワガエルなど、世界中でここにしかいない貴重な動植物が分布しています。そのことから、政府や鹿児島県では徳之島、沖縄島北部、西表島と併せてユネスコの世界自然遺産への登録を目指しています。

その奄美大島に分布するのがトラツグミの亜種であるオオトラツグミです。本土に分布するトラツグミに良く似ていますが、その名の通り少し体が大きいです。最も大きな違いは鳴き声で、マミジロに似た「キョローン」という声で鳴きます。このことから、トラツグミとは別の種類であると考える人もいます。

オオトラツグミは1905年に鳥類学者の小川三紀(おがわ・みのり)によって新種として記載されました。当時から数の少ない鳥と考えられていましたが、第二次世界大戦の後にアメリカから返還された1953年以降、森林伐採が進んだこと、1979年からハブの対策を目的としたマングースの放獣が行われたことによってさらに数を減らしてしまいました。1990年代に奄美野鳥の会によって行われた調査では個体数はわずか58羽ほどであることが分かりました。

水田さんは2006年に奄美に赴任され、この減少したオオトラツグミの保全に携わることになりました。絶滅危惧種を守るためには、どこに分布し、何を食べ、どのように繁殖し、何羽いるのか、なぜ減っているのかを調べる必要があります。水田さんはこれらの問題に取り組むために、オオトラツグミのこのような生態を調査することにしました。

地元の自然愛好家の人たちと協力して奄美大島内での分布をさえずっている個体の聞き取りによって調べたところ、島の中部から南部、標高と林齢が高いところ、マングースが少ないところで数が多いことが分かりました。水田さんが調べるまでオオトラツグミの巣はわずか3巣しか見つかっていませんでしたが、これまでに95巣が見つかり、太い木の又や岩棚に作られていることが判明しました。見つけた巣のうち11巣で親がヒナに持ってくる餌を観察したところ、その80%がミミズであることが分かりました。さらに、前述のさえずり調査結果から、現在では2000-5000羽程度が生息し、個体数は増加傾向にあることが分かりました。森林の保全やマングースの駆除がうまくいっている成果の一つと考えられます。

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▲質疑応答のようす。左から、尾崎さん、高木さん、水田さん、平岡さん(司会)。

質疑応答とディスカッションの時間では、まず尾崎さんからヤンバルクイナの発見とその後の保全活動に関する紹介があり、その後、会場からの質問を受けました。リュウキュウコノハズクの地理的変異はどのような生態的な意味があるのか、奄美大島で進化を遂げた固有種には特別な能力があるのか?といった質問がありました。

続けて、登壇者3名によるディスカッションを行いました。鳥は翼があるのになぜ固有種になる?という平岡さんからの質問に対しては、「移動しないほうが沢山の子を残すことができるような環境で進化する」「鳥は意外と保守的で、生まれ育った環境からあまり大きく分散しない傾向がある」ことが島の鳥の特徴としてあげられるのではないか、というお話がありました。最後に、3人の登壇者の方に島でのバードウオッチングの楽しみ方について伺いました。島と本土との違い、島ごとの行動の違い、渡り鳥の渡り経路について注目して観察を楽しむと、より深く島でのバードウオッチングを楽しめるのでは、とのお答えをいただきました。

今回の鳥学講座では、島の鳥たちの観察の楽しみ方について、単に本土と種や亜種が違うというだけではないさまざまな視点をご紹介いただけたと思います。

ライブビューイングの会場と併せて172名の方にご来場いただきました。ご登壇いただいた高木さん、水田さん、尾崎さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

当日のレジュメは、以下からもご覧いただけます。
http://www.yamashina.or.jp/hp/event/images/chogaku_koza19.pdf

今回のお話のもとになった書籍は、こちらです。
鳥の博物館ミュージアムショップでも11月中旬以降に扱う予定ですので、ぜひご購入ください。