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11日7日(土)に、第30回JBF鳥学講座をオンライン配信にて開催しました。今回は「洋上風力発電と野鳥 ―あまり知られていない影響とその対策―」と題して、早稲田大学人間科学部の風間健太郎さんにお話しいただきました。

地球温暖化の原因となっている温室効果ガスの排出の削減のため、世界中で洋上風力発電が推進されています。再生可能エネルギーの一つとして期待が高まっている洋上風力発電ですが、鳥類にも悪影響を及ぼす場合がしばしばあるようです。その影響には、大きく分けて以下の3つがあるそうです。

(1)風車との衝突(バードストライク)
(2)風車の回避によるエネルギーの消費や餌場からの締め出し
(3)風車による生息地の改変

風車による悪影響としては、まずはバードストライクが頭に浮かびますが、鳥たちの多くは風車を避けて飛ぶことができることがわかっています。しかし、避けられれば良いというわけではなく、最短のルートで移動できなくなったり、良い餌場が使えなくなってしまうことの影響も無視できないことをヨーロッパを中心とした研究例からご紹介いただきました。

では、洋上風力発電による鳥への影響はどのように軽減できるのでしょうか?
洋上風力発電の先進国であるイギリスやドイツなどでは、海鳥の分布に関する長期のデータを活かしてアボイドマップ(衝突リスクの高い場所を示した地図)が作成されており、それをもとに建設の候補地選定が行われています。

しかし、海鳥の事前の分布情報は不足していることが多く、年による変動も大きいために、予測が難しいことが特徴です。そのため、事前の分布情報をもとにした場所の選定に加えて、継続的な事後調査の結果をもとに順応的な管理をしていくことが、現時点では最も良い方法なのではないか、と提案されていました。

講演のあとには、風車による衝突する鳥やその回収率の種による違い、環境アセスメントにかかる問題点などについて、多くの質問やコメントが寄せられ、風間さんにわかりやすくお答えいただきました。

今回の鳥学講座は、最大同時に257人の方にご視聴いただきました。お話しいただいた風間さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

11月8日(日)の12:00〜13:30の予定で再放送が行われます。見逃した方、もう一度見たい方は以下のページにあるリンクからご覧ください。
http://www.birdfesta.net/jbf/online2020.html


参考資料:
当日のレジュメは、以下からご覧いただけます(PDF直リンク)。
http://www.yamashina.or.jp/hp/event/images/jbf201107resume.pdf

お話しいただいた内容の一部は以下のウェブサイトから読むことができます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/ae165476c336a65abfed7fd9e094e1a7297e4e95

環境省が作成した「風力発電における鳥類のセンシティビティマップ」
https://www.env.go.jp/nature/seisaku/list/yasei_furyoku/sensitivity_map/index.html