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 7月のテーマトークは、「鳥類標識調査―最近の話題から―」というテーマで、山階鳥類研究所保全研究室専門員の吉安京子さんにお話いただきました。
 「鳥類標識調査(バンディング)とは、1羽1羽の鳥が区別できる記号や番号がついた標識(足環)を鳥につけて放し、その後の回収(標識のついた鳥を見つけ、その番号を確認すること)によって鳥の移動や寿命について正確な知識を得るという調査方法です。・・・中略・・・。環境省が山階鳥類研究所に委託して標識調査を実施しており、全国に設定された鳥類観測ステーションを中心に山階鳥類研究所や大学などの研究者、ボランティアバンダーが鳥を安全に捕獲し、標識をつけて放鳥しています。」(山階鳥類研究所HPより)。
 はじめに標識調査の目的や調査方法など基本的な解説があり、放鳥と回収の具体的な手順や事例が紹介されました。これまで放鳥600万件に対して回収が6万件とのことでした。
 また興味深い回収例として、日本とアメリカの越冬地をまたに架けて移動するオナガガモやモンゴルで標識され日本で回収されたタゲリ、ロシアで標識され日本で回収されたツリスガラ、アラスカで標識されたムナグロが我孫子でも確認され、それが太平洋の真ん中を南下しミクロネシアの島々で越冬した後、日本の沿岸に沿って北上していることが分かった事例などを紹介してくださいました。
 回収のパターンとして、研究者や協力者が標識個体を再捕獲する場合のほか、標識が撮影された写真が届けられる場合や標識された個体が斃死鳥として回収される場合などがあり、一般の方たちの協力が標識調査の成果につながっている事が改めて分かりました。