過去ログ

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投稿者: odaya
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本日12月27日から1月5日まで、我孫子駅南口にある我孫子インフォメーションセンター アビシルベにて、鳥の博物館の出張展示「さよなら酉年展」を行います。この展示では、11月26日まで鳥の博物館で開催されていた企画展「鳥・酉・鶏・とり」のパネルから厳選したものを再び展示して、鳥と人の関係について紹介しています。ぜひお立ち寄りください。

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パネル展示の様子
カテゴリ: General
投稿者: iwamoto
12月9日(土)に、12月のテーマトークを開催しました。今回は山階鳥類研究所保全研究室の富田直樹研究員より「都心で繁殖を始めたウミネコの生態と人との関係」と題してお話し頂きました。

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 カモメ類の市街地での繁殖は1980年代を境に、世界的に一気に増加しました。そして日本でも1990年代中頃から、たとえばテトラポットでオオセグロカモメが繁殖するなど、人工物での繁殖が確認されるようになりました。その後、札幌市と東京都において、それぞれオオセグロカモメとウミネコが市街地において繁殖することが確認されるようになりました。たとえば上野の不忍池に近いビルの屋上では、約200羽のウミネコが集まって、繁殖したことがありました。
 日本における傾向としては、海外のように海岸沿いの都市から徐々に入ってくるのではなく、大都市の真ん中へ一気に入ってきました。しかし、残念ながらそこでは住民との軋轢が発生し、害鳥扱いされるようになっています。

 都心でウミネコの繁殖を始めたのはビルの屋上です。東京都はヒートアイランド現象の緩和、大気の浄化等を目的に、建築物の屋上や壁面、ベランダ等を緑化する「屋上等緑化」を推進しています。そして、新しく建てたビルのうち、一定の面積を超えるものについては必ず屋上緑化をしなければならないことになりました。その新築の屋上へウミネコがやってきて、草の上へ産卵が行われるのです。13階建てくらいのビルが狙われることが多く、一度に2〜3の卵を産みます。そして、卵を産んでしまうと、その後は鳥獣保護法により、巣立つまで追い払うことができなくなります。

 鳥が繁殖するためには、営巣場所の他に、その周辺でエサがとれるかどうかも重要な条件です。そして、都市へ進出した鳥の場合には一般に、食性や採餌方法を柔軟に変化させ、以前はあまり食べていなかった人間由来の餌等を食べていることがあります。たくましさが見られるのです。しかし、ウミネコの場合は隅田川沿いで採餌していることが意外と多く、主に野生の魚を食べていると考えられました。
 都心には天敵のハシブトガラスも多く生息しますが、調査を行っているビルの屋上にはハシブトガラスが来ないことも分かりました。そして、今のところ繁殖成績は離島よりも都心の方がよいという調査結果が得られました。

 しかし、ウミネコは下に糞を落とすため、洗濯物や布団を汚されることがないか、住民は不安です。新築のマンションにとっては、風評被害が出てしまうのは大きな痛手ですので、翌年からは産卵が行われる前に、ウミネコが来られないように屋上をネットで覆うなどの対策がとられています。そして翌年になると、営巣地も調査地もまた別のビルの屋上へと移ります。駅前のムクドリなどでもそうですが、新たな場所への営巣と追い払いとが絶えず繰り返されているのです。

 今回は合計29名の方が足をお運び下さいましたが、講演後も終了時刻まで質問が絶えず、終わった後も個人的に質問に来られる方がいらっしゃいました。質問の中には、手賀沼にもウミネコは来ないのでしょうか、といったものもありました。ウミネコは現在、手賀沼では繁殖していません。それについては、もしウミネコが来れば、(鳥好きの冨田様としては)有難いけれども、将来、条件がそろえば、その可能性もあるというお話でした。

 お集まり下さいました皆様、大変興味深いご講演をして下さいました富田様、まことに有難うございました。