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 今回は、山階鳥類研究所保全研究室研究員の茂田良光さんにお話いただきました。テーマは、「シギ・チドリ類の渡りを追って」でした。
 茂田さんは、渡り鳥のルート解明のための標識調査の専門家として長年さまざまな調査に携わっていますが、その中のシギ・チドリ類の調査を紹介いただきました。
 シギ・チドリの仲間は、長距離の渡りをする鳥の代表です。この鳥の脚に野外でも識別できるカラーのマーク(フラッグ)を付けて、世界中の観察者から確認情報を得ることにより、渡りの経路が徐々に明らかになってきました。
 お話では、特に日本でも渡来数が減少しているハマシギについて詳しく紹介してくださいました。ハマシギはバードウオッチャーの間ではなじみ深い鳥です。しかし、世界中の10亜種(同種の中で、地域によって繁殖隔離され、形態等に差の認めれた個体群)のうち、どの亜種が日本で越冬しているのか、これまで知られていませんでした。アラスカやカムチャツカ、サハリンなどの繁殖地でフラッグを付したハマシギが国内で観察されるようになり、その例数が増えるにつれ、渡りの経路が徐々に明らかになってきました。
 このほか、キョウジョシギやシロチドリ、トウネンなどのフラッグ発見例も紹介されました。
 フラッグの発見報告の多くは、鮮明な写真によるもので、フラッグや足環に付した個体番号まで読み取れる例もありました。カメラの性能アップと熱心な観察者が増えることにより、多くの記録が残され、シギ・チドリの渡りルート解明に多いに貢献するものと思われました。
 国内の干潟の減少とともに、日本に渡来するシギ・チドリが年々減少していることが報告されています。渡り鳥のルート解明は、シギ・チドリの生息環境の保全に欠かせぬ情報です。
 このテーマに関心のある方は、ぜひ次のサイトをご覧ください。
http://yamashina.or.jp/blog/2013/05/shigi_chidori/