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 今日のテーマは、「オス?メス?見た目でわかる?雄化する鳥の謎」。山階鳥類研究所自然誌研究室の岩見恭子さんにお話いただきました。
 外部形態では雄と判断したサンコウチョウの資料が、剖検の結果卵巣がありメスだった、というおどろきの発見から、その要因を解明するために行ったさまざまな調査や研究が紹介されました。
 まず性染色体の異常を疑い、それを解明するためCHD遺伝子を調べた結果、性染色体の異常は否定され、また、卵巣が充分に発達していることから雌性ホルモンの分泌異常の可能性も少なく、この雄化のメカニズムの解明には他の遺伝子部位や内分泌器官の組織学的研究などさらなるアプローチが必要とのことでした。ではこの雄化したサンコウチョウは、繁殖の場面でどのような役割を演ずるのか興味あるところですが、実際に野外で雄化したメスのサンコウチョウが繁殖したという観察記録が地域の同好会誌に残されているそうです。
 このほか、岩見さんらが発見した雄の死体に交尾するショウドウツバメの雄の驚きの映像も紹介されました。
http://www.momo-p.com/index.php?movieid=momo151125rr03a
 動物の雄と雌との関係は、一筋縄では理解できないことがよく分かるお話でした。
 また随所で、見慣れた現象でも先入観にとらわれず観察することが新たな発見につながることや、過去の標本資料の中に謎を解くさまざまな情報が含まれていることが示され、示唆に富むお話でした。