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 今日は、山階鳥類研究所保全研究室の仲村昇さんにお話いただきました。テーマは、「ジオロケーターを装着したブッポウソウから分かった越冬地」でした。
 ジオロケーターとは、毎日の日照時間を記録できる約1gのデータ蓄積装置で、日照時間を解析することで緯度経度が推定できるそうです(日照時間で緯度を南中時間で経度を推定)。軽量なので小鳥にも装着可能で、これをブッポウソウに取り付け、1年後に回収し、いつ、どこにいたのか推定します。誤差が大きく高精度の定位はできませんが、ダイナミックに移動する渡り鳥の越冬地を把握することは可能とのことでした。
 ブッポウソウは、国内でも個体数の減少から、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種に指定されています。これを保全するためには、繁殖地の環境はもちろん、越冬地や中継地の環境も把握しなければいけません。これまで、日本で繁殖するブッポウソウがどこで越冬しているのか充分には知られていませんでしたが、ジオロケーターを使った調査ではじめて越冬地(カリマンタン島)の確実な証拠が得られました。
 国内の既知の代表的な繁殖地(高知県、岡山県、広島県、鳥取県、長野県、新潟県など)では、営巣場所の樹洞の不足を補うために巣箱を設置して個体数の維持を図っていて、特に岡山県、広島県、鳥取県では、効果が見られているとのことです。
 今後は、ジオロケーターより定位精度の高いGPSロガーを使用しブッポウソウの動向を正確に把握したり、巣箱の設置方法を検討したり、効果的な保全対策につなげて行くそうです。