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 今日のテーマは、「飛べないクイナ類の保全状況−ヤンバル・ロードハウ・ニュージーランドクイナ−」でした。
 クイナの仲間は、世界中に分布しますが、島に住み、無飛力で、絶滅の危機に瀕している種を多く含んでいるのが一つの特徴です。今日は、沖縄本島の北部の森林に住むヤンバルクイナ、オーストラリアのシドニーから東へ700kmの小島にすむロードハウクイナ、ニュージーランドにすむニュージーランドクイナ(現地名ウェカ)の保全の現状について、山階鳥類研究所副所長・保全研究室室長の尾崎清明さんにお話いただきました。
 ヤンバルクイナは、沖縄本島の南部から侵入した外来種マングースの北方への分布拡大に合わせて、北部へと追いやられていましたが、計画的なマングースの駆除が功を奏し、分布域を南へ少しずつ押し戻しているそうです。マングース拡大を察知した早めの対応がよかったそうです。
 ロードハウクイナは、人口300人という小さな島にすむクイナで、生息環境の減少やブタ、ヤギ、ネコ、イヌなどの影響で、1980年には30羽までに減少しました。その後、個体数のモニタリング調査や、全個体への標識、ネコの撲滅、ブタやヤギの駆除を徹底して行った結果、2015年には290羽にまで復活しました。
 ニュージーランドクイナは、種としては10万〜17万羽と一定の個体数がいると考えられていますが、4亜種あり、特定の亜種では個体数が少なく、保全が必要だそうです。ここでも減少の原因は、外来種の移入や森林環境の消失などです。
 お話の中で、飛べないクイナがなぜ生じたのか?という問いにも触れ、飛べることは、移動や天敵からの逃避、採餌に有利であり、逆に飛べないことは、エネルギーコスト、定住性、大型化に対して有利であることから、島という天敵の少ない環境では、飛ばない道を選ぶのだそうです。
 最後に、ヤンバルクイナに再び触れ、車の静音化によって、路上で轢死するケースが増え、また、最近では、ネコが新たな脅威となっているそうです。