20141014-thematalk20141011.jpg
 今回のテーマは、「鳥と一緒にくらしています−外部寄生虫の世界−」で、山階鳥類研究所自然誌研究室の鶴見室長にお話いただきました。
 はじめに、内部寄生と外部寄生、終生寄生と一時寄生など、寄生中の基礎を示してくれました。そして、鳥の外部寄生中として知られている、ダニ類(こちらはクモの仲間)とハジラミ、ノミ、ハエ類(こちらは昆虫)の分類、形態、生態をくわしく紹介してくださいました。
 クチヒロハジラミ、ハトナガハジラミ、スズメトリノミ、ニワトリノミ、ハゴロモトリノミ、イワツバメシラミバエ、アオバトシラミバエ、トリチスイコバエ、アカコッコダニ・・・限りなく多様な世界であることが分かりました。
 また、ツツガムシの仲間(ダニ類)は、羽毛や羽軸、鼻孔、耳孔、肺・・・などさまざまな部位に寄生するため外部寄生と内部寄生の境界がむずかしいことや、ウモウダニの仲間のように、鳥の羽毛に付着した脂肪分を食べることで鳥にも有益な共生関係が予想されていることなど意外な一面も紹介されました。
 また、ツツガムシ(ツツガムシ病で有名)に代表されるように、ダニ類は人畜鳥共通感染症の原因となるリケッチアやウイルス、あるいは細菌を媒介することがあるため、扱いに注意を怠ってはいけないこともお話しくださいました。
 鳥と共に生きているがあまり意識しなかった生物が、意外に人と関わりを持っていることに改めて気づかされました。