September 4日Friday: ハシビロコウ展示しました

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投稿者: someya
 30周年記念スタンプを作製するにあたり、何の鳥のデザインにするか迷いましたが、特徴的な顔つきで人気のハシビロコウを採用しました。
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▲イラストのモデルは当館3階に展示しているハシビロコウです。
 記念スタンプも設置している1階エントランスホールに、ハシビロコウの剥製と骨格標本をならべて展示しました。動かない鳥としてご存知の方も多いのではないでしょうか。
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▲ハシビロコウの剥製(左)と骨格標本(右)
 大きなくちばしから、骨を見ただけでもハシビロコウだとわかりますね。このくちばし、以外と軽いんですよ。
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 羽をよくみるとコントラストがきれいで、全体的に見ると単純な灰色だけではないことがよくわかります。
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 ハシビロコウの剥製と骨格標本をみくらべられるのは期間限定(9月末位までを予定しています)です。この機会をお見逃しなく!
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投稿者: muramatsu
皆さまのおかげで、我孫子市鳥の博物館は、今年で30周年を迎えました!
平成2年5月22日に開館して以来、これまでに140万人以上の方にあしを運んでいただきました。ありがとうございます。
「あし」といえば、こちらのポスター。

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これは博物館のオープン当初につくったものです。実際に本物の標本を見て楽しんで欲しいという思いが込められています。これからも皆さまに楽しんでいただける博物館づくりに取り組んでいきますので、応援よろしくお願いします!
(ちなみにダチョウのあしは2本です)
ミュージアムショップでは4本あしダチョウの30周年記念クリアファイルを販売中です(税込100円)!

また、館内にはハシビロコウの30周年記念スタンプを設置しています。
1階エントランスと3階展示室には、ハシビロコウの標本を展示しているので、
ぜひ見に来てください!

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投稿者: odaya
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8月15日に、2020年8月のテーマトークを実施しました。7月からオンラインでの開催を始めましたが、2回目である今回はYoutube liveを用いたライブ配信で行いました。

今回は、山階鳥類研究所保全研究室・自然誌研究室研究員(兼任)の森本さんに「都市における電柱と野鳥 ーおもにスズメの話題からー」と題して講演いただきました。

日本で最も人に身近な鳥であるスズメの生態、人とのかかわり、個体数の減少の実態などについて紹介されたあと、スズメが電柱をどのように使っているのかについてご紹介いただきました。質疑応答はチャット機能を用いて行われ、スズメの減少の原因や、繁殖がうまくいっていないことなどについてわかりやすくお答えいただきました。

今回のオンライン講演は、最大同時に158人の方に視聴していただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。9月のテーマトークはお休みです。10月以降の実施方法については、山階鳥類研究所・我孫子市鳥の博物館ウェブサイトで改めてご案内します。
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投稿者: odaya
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7月18日に、2020年7月のテーマトークを実施しました。テーマトークはこれまで、おおむね月に1回のペース(9月と11月を除く)で実施してきましたが、2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染対策のため、実施を見送ってきました。

この度、準備が整いましたので、7月からzoomを用いてオンラインで実施することにいたしました。

今回は、鳥の博物館学芸員の小田谷が「鳥の換羽とその野外観察の面白さ」と題して講演しました。
すべての鳥の羽毛は使い捨てで、定期的に抜けて新しいものに交換されます。その一連のプロセスを換羽(かんう)といいます。換羽はなぜ行われるのか、鳥の換羽の基本的なパターン、野外で換羽を観察するコツ、換羽の観察からわかることなどについてお話ししました。

全国各地から228名の方に登録いただき、実際には最大同時に177人の方に視聴していただきました。ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。8月以降もオンラインで開催する予定ですので、今後ともよろしくお願いいたします。
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投稿者: odaya
本日、株式会社モンベル様が呼びかけるアウトドア義援隊より、博物館の受付・解説などの業務で使用するためのフェイスシールド10個をご提供いただきました!早速、窓口で受け付け業務にあたる職員に使ってもらいました。

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▲フェイスシールドを使って受付業務にあたる職員

今後、自然観察会や館内の解説を再開する際にも、利用させていただきたいと思います。
まことにありがとうございました。

株式会社モンベル様では、「アウトドア義援隊」として、新型コロナウイルス感染症対策を支援するため、医療機関や山小屋、博物館等の公共施設にフェイスシールドや防護服の提供を行われています。詳しい情報は、以下のサイトからご覧ください。
http://about.montbell.jp/release/disp.php?id=481
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投稿者: someya
 当館は新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環として、3月末から休館していましたが、本日6月9日(火)より開館しました。
 館内には、観察を続けている、フクロウの巣箱カメラの映像をご覧いただけるコーナーがあります。フクロウの子育て時期限定のコーナーです。3密を避けるため、平日がオススメです。画像は鳥の博物館のウェブサイトからもご覧いただけます。
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 ヒナは親からエサをもらってどんどん成長しています。孵らないままの卵が映っていて気になる方もいらっしゃるかと思いますが、自然の状態をご覧いただいています。ヒナが巣立つ日も近付いています。
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投稿者: odaya
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2020年2月23日(日)に、鳥博セミナー「ハクセキレイの標識調査」を開催しました。「ハクセキ道場」を主宰されている亀谷辰朗さんと森本元さんのお二人にお話しいただきました。今回のセミナーは、開催中の企画展「バンディング展〜足環でわかる鳥の渡り〜」の連携企画として開催したものです。

まず、森本さんにセミナーの趣旨についてお話しいただいたあと、亀谷さんにハクセキレイと亀谷さんたちが実施する「ハクセキ道場」について詳しくご紹介いただきました。

ハクセキレイは、私たちにも身近な白黒の小鳥で、スズメ目セキレイ科に分類されます。セキレイの仲間は歩くときに尾を上下に振ることが特徴で、セキレイ属の属名Motacillaは小さな(尾を)動かすもの、という意味のラテン語だそうです。

ハクセキレイはユーラシア大陸に広く分布し、地域によって羽色などが異なるため、11の亜種に分けられています。このうち、日本では亜種ハクセキレイが普通に分布するほか、旅鳥として亜種ホオジロハクセキレイ、亜種タイワンハクセキレイなどが渡来します。ほか、まれな旅鳥や迷鳥として他の数亜種も記録されています。

鳥に足環を付けて渡りなどを調べるバンディング(標識調査)は、各地で行われていますが、ハクセキレイの場合は他の調査と異なる点がいくつかあります。まず、普通は日中にかすみ網などの道具を設置して鳥がかかるのを待つのに対し、ハクセキレイの調査では人が網を動かし、夜明け前にねぐらで一気に捕獲します。

この調査は現在では11月から4月の越冬期に行われ、月に1回、東京都内の川に架かる橋の上で実施されています。調査の開始は1973年にさかのぼりますが、亀谷さんたちのグループがこれを引き継ぐ形で開始されたのは1997年で、それから20年以上、場所を変えつつも継続されています。2019年12月までに185回の調査を行われ、4856羽のハクセキレイに足環を付けて放鳥されています。

亜種ハクセキレイは世界のハクセキレイの亜種の中で最も翼の白色部が広く、性と年齢による違いがはっきりしています。しかし、その一方で中間的な個体も多く、その識別は一筋縄ではいかない部分があるようです。今回は、鳥の博物館に所蔵している片方の翼を開いた状態の本剥製を使って、その概要についてお話しいただきました。

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▲標本を使って性と年齢の識別について解説する亀谷さん。

また、時々捕獲される過眼線のない個体については、翼の白色部の広さや大きい計測値から、亜種ホオジロハクセキレイではなく亜種ハクセキレイの羽色の変異だと思われることについてもご紹介いただきました。

続いて、森本さんに、標識調査でわかったハクセキレイの生態と足指の欠損についてお話しいただきました。ハクセキレイはかつては本州中部以南では冬鳥でしたが、1950年代ごろからより南の地域でも繁殖するようになり、1970-80年代からは関東地方で繁殖するようになりました。この拡大傾向は現在でも続いているようです。ハクセキ道場での捕獲調査のデータを見ると、越冬期に捕獲数が多く、越冬個体がより北の地域からやってきていることがわかります。

ハクセキレイは都市の環境に適応し、コンクリートの駐車場などで餌をとっているのもよく見かけますが、ねぐらも人工物を利用するようになっています。ハクセキ道場の調査が行われている橋の下や、電線、看板の裏など、さまざまな場所を使っています。

ハクセキレイを越冬期に観察すると、2羽で行動しているのをよく見かけます。これらは繁殖するつがいなのかと思いきや、実はそうではなく、冬だけオーナーのいる縄張りに居候している1羽がくっついて(サテライトと呼ぶそうです)行動しているのだそうです。ヨーロッパで行われた実験では、餌の量が十分に得られる場合はオーナーはこのサテライトを受け入れるが、餌がない場合は追い出してしまうそうです。このように、つがいや血縁関係のない2羽の鳥が行動を共にするのはあまりないケースのようです。

森本さんたちがハクセキレイの標識調査を行っていると、足の指が欠損している個体が多く含まれることに気が付きました。他の鳥に比べてかなり多く、ときには全体の5%ほどにもなることもあるそうです。正常な個体と体重を比較してみたところ、欠損のある個体はより体重が軽いようで、うまく餌を捕れていない可能性があるとのことです。これらの原因は、ビニールひもなどの細い人工物が足に絡んで起こるケースが多いとのことで、都市の鳥に人間のゴミの影響があることが標識(捕獲)調査によっても明らかになっています。

全体を通して、継続して行われているハクセキレイの標識調査によって、多くの新知見が明らかになってきていることをお話しいただきました。質疑応答の時間では、ねぐらの利用の季節変化、ハクセキレイの食べ物や、セグロセキレイとのすみわけなどについて活発な議論が交わされました。今回は43名の方にご参加いただきました。
ご参加いただいたみなさま、講演いただいた亀谷さん、森本さん、どうもありがとうございました。

企画展「バンディング展〜足環でわかる鳥の渡り〜」は、2020年6月14日(日)まで開催予定です。展示の中でハクセキレイの渡りや性と年齢の識別についてもご紹介しておりますので、ご興味ある方はぜひご来館ください。

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投稿者: odaya
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▲構造色の羽毛をもつカワセミ

2月15日に、2020年2月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室・保全研究室研究員の森本元さんに、「鳥の色彩と構造色」と題してお話しいただきました。

鳥は、視覚とともに色覚の発達した生物であると考えられており、私たちに見えない紫外線も見えるため、4原色で世界を見ています。鳥の持つ色はさまざまで、カワセミのようにキラキラした青色の鳥もいれば、オオバンのように全身黒色の羽色を持つ鳥もいます。

鳥の多様な羽色を形作っている要素は2つに分けられます。光が当たった時に吸収されなかった色の光が反射して見える色素色(しきそしょく)と、細かい構造によって強調された色の光が見える構造色(こうぞうしょく)です。たとえば、牛乳の白は、脂肪分のコロイド粒子によって光の散乱が起こっていることで見える構造色です。構造色はさまざまな生き物で見られますが、たとえば昆虫ではカラスアゲハやタマムシなどのキラキラ光る翅の色は構造色です。

鳥の色素は、ほとんどがメラニン(黒・茶色系)とカロテノイド(黄・赤系)で構成されています。一方で、青や紫などのそれ以外の色は、ほとんどが構造色によって見えています。

鳥の羽毛の青色の構造色には、カワセミのようにキラキラ光る虹色の構造色と、コルリやイソヒヨドリのように非虹色のものがあります。これらにはなぜこのような違いがあるのかを、詳しく説明していただきました。

青色の構造色だけでも、羽毛の羽枝や小羽枝にある構造の種類によってさまざまなパターンがあるそうです。たとえば、カラス類やドバトの首の金属光沢は、ケラチンが形作る膜構造による干渉が原因ですが、カワセミの青色の羽毛は、スポンジ構造によって青色が強調されていることが原因であることが、電子顕微鏡での構造研究や光の研究から明らかになっているそうです。

また、色素であるメラニンの配置によって構造色が見える場合もあり、クジャクの青色の羽毛はそのような構造で作られているそうです。森本さんたちのグループは、そのような点に着目し、人工的にメラニンの配列を調整することで、様々な色の構造色を実際に作り出すことに成功されました。自然の性質を知ることで、新しい技術が生み出される可能性についても知ることができました。

今回は、40名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた森本さん、ありがとうございました。
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投稿者: odaya
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1月18日に、2020年1月のテーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所自然誌研究室研究員の齋藤武馬さんに、「絶滅寸前?オガサワラカワラヒワの特徴とその保全」と題してお話しいただきました。

オガサワラカワラヒワは日本本土にも分布するカワラヒワの亜種の一つで、世界で小笠原諸島だけに分布しています。本土のカワラヒワに比べて、羽の色の黄色みが少し弱く、体が小さいことが特徴といわれています。
これまでに齋藤さんたちが行ったDNAバーコーディング(ミトコンドリアDNAの一部の短い配列を読むことで、生物の同定を行うための手法)の配列を用いた研究では、本土に分布する亜種カワラヒワとは、3%を超える大きな遺伝的な違いがあることがわかりました。これは、一般的には亜種の間の遺伝的違いよりも大きく、種のレベルの違いに相当するものでした。

そこで、齋藤さんたちは、オガサワラカワラヒワがどのくらいほかのカワラヒワの亜種と違うのかを調べるために、別の遺伝子をより詳しく調べたり、地域ごとに体の大きさの違いを調べる研究を行いました。
まず、バーコーディング領域とは異なる2つのミトコンドリアDNAの遺伝子の配列を調べると、オガサワラカワラヒワは他のカワラヒワの亜種と2.1-2.4%の配列の違いがあることがわかりました。また、他の亜種とは110万年(更新世の中期ごろ)も昔に分かれていたと推定されました。また、遺伝的な多様性はとても低いこともわかりました。

次に、博物館に保存されている標本を使って、体の大きさの違いを調査した結果についてお話しいただきました。カワラヒワの亜種は北方で繁殖するものほど体が大きくなる傾向があり、オガサワラカワラヒワはすべての亜種の中で最も短い翼をもっていました。しかし、くちばしの長さを測ってみると、どの亜種よりも大きいことがわかりました。すなわち、オガサワラカワラヒワはすべての亜種の中で最も体に対して大きな嘴を持っているということになります。これは、餌となる種子の少ない海洋島の環境で、ムニンアオガンピなどの木の種を食べることに適応した結果ではないかと考えられるとのことでした。

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▲オガサワラカワラヒワの雄成鳥。くちばしが比較的大きいことがわかる。

このように、遺伝的にも形態的にも他の亜種とは大きく異なるオガサワラカワラヒワは、別種とみなすのが妥当ではないかと考えられます。しかし、オガサワラカワラヒワの個体数は急激に減少しており、その絶滅が心配されているのです。かつて、オガサワラカワラヒワは小笠原群島と硫黄列島のほぼすべての島に生息していました。しかし、現在では母島列島の属島と南硫黄島に限られてしまっており、その個体数は合わせて400羽ほどと見積もられています。

その大きな原因となっていると考えられるのが、巣やヒナを襲う外来捕食者である大型のネズミ類です。小笠原諸島にはクマネズミとドブネズミの両方が人間によって持ち込まれていますが、実は、オガサワラカワラヒワが生き残っているのは、木登りの得意なクマネズミのいない島に限られています。現在生き残っている母島の属島でも、ドブネズミによって捕食されて数を減らしてしまっていると考えられています。
今後は、生息地である無人島でのドブネズミの駆除や、観察や標識調査によるモニタリングの継続、飼育下での人工繁殖に向けた遺伝的な多様性の把握などが課題とのことでした。

これほど危機的な状況ながら、まだまだ一般の人に存在が知られていないのがこのオガサワラカワラヒワです。地元の母島で活動されている川口大朗さんが作成されたオガサワラカワラヒワの保護を呼びかけるステッカーを会場で配布しました。ぜひ多くの人にオガサワラカワラヒワの状況を知っていただき、保全に向けた取り組みが少しでも進むことに期待したいと思います。

今回は、20名の方にお集まりいただきました。ご参加いただいたみなさま、お話しいただいた齋藤さん、ありがとうございました。
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投稿者: iwamoto
20200108-img_2601.jpg 2019年12月21日(土)に、テーマトークを開催しました。今回は、山階鳥類研究所保全研究室の富田直樹さんに、「実は日本のカモメ類が減っています」と題してお話し頂きました。
 山階鳥類研究所保全研究室では、環境省の事業である「モニタリングサイト1000」の海鳥調査を委託されています。モニタリングサイト1000は、日本全国にわたって、1000ヶ所程度のモニタリングサイト(調査地)を設定し、基礎的な環境情報の収集を長期にわたって行う環境省の事業で、2003年から始まりました。海鳥部門の調査では、日本全国の島嶼部に合計30ヶ所の調査地が設定されており、3〜5年に一度のペースで、調査が継続されています。
 海鳥は世界全体で約350種おり、鳥類全体の約4%を占めています。海洋生態系の高次捕食者であるため、海鳥の繁殖成績は海洋生態系の環境指標になります。しかし、世界の海鳥の個体数は1950年から2010年の間に約70%も減少したといわれているとのことでした。そして現在、世界の海鳥の3割くらいが国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているそうです。
 減少の理由としては、海特有の人為的な影響が挙げられていることが紹介されました。影響が大きいと考えられているのは、人間が持ち込んだネズミやネコ等の外来生物が、海鳥の繁殖地である島に侵入したことや、マグロはえ縄漁や刺し網などの漁業による混獲でした。
 海鳥の個体数については、世界全体での減少傾向が指摘されてきた一方で、日本で繁殖する多くの海鳥については、これまで、その個体数変化が詳しく調べられてきませんでした。その長期的な変化を示した初めての研究成果が、昨年の8月に富田研究員らのグループによって発表されました。
 日本では、40種の海鳥が繁殖しており、そのうち22種がレッドリストに記載されています。研究グループでは、日本で繁殖する海鳥 10 種について、環境省の日本海鳥コロニーデータベースを利用して、過去 36 年間(1980年〜2015年)の個体数変化を解析しました。このデータベースには、「モニタリングサイト1000」以外のデータも多く含まれています。
 その結果、増加していたのは4種(アホウドリ、ヒメウ、ケイマフリ、ウトウ)、大きな変化が無かったものは2種(コシジロウミツバメ、ウミウ)、減少していたものは4種(エトピリカ、ウミガラス、ウミネコ、オオセグロカモメ)でした。この結果からは、ウミガラスやエトピリカといった絶滅危惧種だけでなく,ウミネコやオオセグロカモメといった、分布域が広くて個体数が多いと思われていた種も、長期的に減少していることが明らかになりました。
 ウミネコは、全国10ヶ所の繁殖地のデータを用いて解析したところ、1980年から2015年の間に、72%減少していました 。また、オオセグロカモメは、全国9ヶ所のデータ用いて解析したところ、1980年から2015年の間に、65%減少していました。現在でも、これらのカモメ類は全国の海岸で普通に見ることができるので、あまり減ったという実感は無いかもしれません。しかし、繁殖地に足を運んでみると、その変化を実感することができるそうで、その例として、山形県飛島にあるウミネコのコロニーにおける変化を写真で紹介して下さいました。
 日本で繁殖するカモメ類が減少した主な要因として、以下のことが考えられています。
仝機紅某C呂療腓砲呂い覆った、天敵であるネコやキツネの侵入
餌となる魚の減少
在来の天敵であるオジロワシの個体数増加
 飛島のように繁殖地の中には人の住んでいる島もあり、人が持ち込むネコなどの動物の管理が課題であるとのことでした。餌となる魚の減少については、地球環境の変化とも関係があるのかもしれません。オジロワシについては、絶滅危惧種でもあることから、その個体数が回復してきていることは、喜ばしい反面、海鳥繁殖地で頻繁に観察されるようになってきているそうです。これは、悩ましいところでもあるとのことでした。しかし、オオセグロカモメやウミネコの繁殖数が減少した直接の原因は、まだよく分かっていないそうです。
 日本で繁殖するカモメ類のように分布域が広く、かつ個体数の多い種が急激に減少すると、生態系の機能や安定性に与える影響が大きいと考えられています。そして、今回の研究結果は,絶滅危惧種だけでなく,広域に分布する種の保全のあり方を議論する必要性があることも示しています。今後も注意深くモニタリング調査を行っていく必要があると考えられます。
 富田さんたちの研究についてより詳しく知りたい方は、以下のプレスリリースをご覧ください。

https://www.hokudai.ac.jp/news/190902_pr2.pdf

今回は26名の方にお集まり頂きました。ご参加いただいた皆様、そして、大変興味深いお話をして下さいました富田さん、有難うございました。